勘違い!小泉の育休
小泉環境大臣が「育休」を取ることが話題になっているが、私は、それは行政機関の長として甚だしい「勘違い」だと思う。 まず、「育休」という制度は、「従業員」の子の養育を容易にし、その「労働者」の雇用の継続・再就職を促進するための制度である(育児・介護休業法1条、3条)。しかし、大臣という地位は、法律で言うところの「事業主、国……」そのものであり、「使用者」であり、「従業員」ではない。
また、省の大臣の職務は、特定の行政事務をひとりで全権限と全責任を担う「独任」の身分(内閣法3条1項、国家行政組織法5条1項)で、代わりの利かない立場である。つまり、日常的に仕事を分担し合う同格の同僚はいないのである。 だから、事柄の性質上、小泉大臣が一定期間の育休を取りたいのなら、それは大臣を辞めるしかない。でないと、その間、環境大臣が空席になってしまう。
しかも、あの小泉家の一員として、小泉氏は育休を取らなければ子育てができず職業の継続ができない立場でもない。夫妻ともに高額所得者で資産があることも明らかである以上、普通に人を雇って育児を手伝わせ、大臣自身は、世の中の多忙な父親のひとりとして、原則として夜は帰宅するのだから、その限りで育児に協力すれば済むだけのことである。 小泉大臣自身の場合のように、親が超多忙な家庭でも、人はそのように一人前に育ってきたし、これからも育っていくものである。 今回は政治的「パフォーマンス」のように小泉「大臣の育休」が話題になっているが、ご本人もそれを話題にする人々も、前述のように何か勘違いをしているのではないか。小泉氏のように特殊な立場の人が育休を取ったからといって、現実に育休と失業のはざまで真剣に悩んでいる「労働者」が今後、育休を取りやすくなるはずのものでもない。 今、小泉氏に求められることは、人類の命運がかかっている環境問題について、国務大臣として閣議に提案できるような斬新な政策を真剣に考える時間を持つことであろう。ーー --日刊ゲンダイ2日より転載・小林節 記
橋ーー上記・小林論に賛意します