アベの大嘘・19年
今年もまた、リテラ年末恒例・安倍首相による「大嘘」振り返り企画をお届けする季節がやってきた。毎年、恥も反省もなく虚言を吐きつづける安倍首相だが、今年2019年も政策・外交の失敗、あるいは私物化疑惑をごまかすために山のような嘘を平然とついてきた。 今回は、その嘘の山から厳選の8つの嘘を振り返ろう。まず最初は、新年早々、多くの国民の度肝を抜いた、この嘘からはじめたい。
◎大嘘その1 「いま、土砂が投入されている映像がございましたが、土砂を投入していくにあたってですね、あそこのサンゴについては、移しております」 1月6日放送『日曜討論』(NHK)で
今年がスタートしてたった6日目に飛ばした最初の嘘がこれ。安倍政権は前年12月14日に新基地建設のために辺野古の海への土砂投入をはじめたが、それを正当化した上、「サンゴは移した」と言い張った。しかし、映像のなかで土砂が投入されていた「埋立区域②−1」ではサンゴの移植はおこなわれていなかったのだ。 しかも、通常国会でこの発言が問題視されると、安倍首相は「南側の海域に生息している保護対象のサンゴは移植したと(防衛省の幹部から)聞いている」と答弁。土砂が投入されている映像を指して「あそこのサンゴ」と言っていたのに、土砂が投入されているエリアの隣の区域を含む「南側海域のサンゴ」だとごまかしたのである。 総理大臣が新年早々フェイク発言をテレビで垂れ流すという唖然とするような幕開けとなった今年。その後も安倍首相は嘘に嘘を重ねつづけたのだ
大嘘その2 「いわば『100年安心』ということはですね、確保された」6月10日、参院決算委員会
今年5月に金融庁の審議会が「年金に頼るな、自分で2000万円貯めておけ」という報告書案をまとめていたことで一気に国民に不安が広がった「年金2000万円」問題。国会では「100年安心は嘘だったのか」と追及を受けた安倍首相だったが、「反論させていただきたい」と大見得を切り、「マクロ経済スライドによって『100年安心』という、そういう年金制度ができたということなんです」「マクロ経済スライドも発動されましたから、いわば『100年安心』ということはですね、確保された」などと主張。しかし、安倍首相はその「100年安心」の具体的な根拠を何ひとつ示さず、だらだらと「マクロ経済スライド」の説明をつづけ、「今年度の年金額は0.1%プラス改定になった」と強調しただけだった。 だが、このプラス改定というのは年金を満額で受け取っている人の場合でたったの月67円の増額でしかない。しかも、安倍首相がその正当性を説きつづけている「マクロ経済スライド」によって、年金は「増えた」どころか実質的には「減って」いる。 そもそも、年金は物価や賃金の上昇に合わせて上昇率分増えるが、マクロ経済スライドの実施は物価の上昇による年金支給額の上昇を抑制するもの。そして、年金の0.1%の増額改定に対し、今年1月に総務省が発表した消費者物価指数によると、物価上昇率は1%。つまり、安倍首相が誇る「年金額を増やした」という話は、実質的には0.9%のマイナスであって、年金が月10万円だったら月900円が減らされたというのが実態なのだ。 その上、姑息にも参院選後まで公表をずらした財政検証の結果では、現実に近いケース5では39年後には所得代替率は44.5%となり、現実の経済状況とも一部重なるケース6では2052年には国民年金の積立金は枯渇。つまり、いまのような経済状況だと「100年安心」どころか、公的年金制度は約30年程度で破綻するという結果が出た。 しかし、安倍首相はこうした現実を直視せず、さらにはこんな嘘まで国会で吐いたのだ。
◎大嘘その3 「たいへん残念なのは、先程の党首の議論でですね、年金の、いわば積立金が枯渇すると言ったとき、拍手が起こったことであります」6月19日、党首討論
年金問題がクローズアップされた党首討論では、当然、野党党首から厳しい追及がおこなわれ、国民民主党党の玉木雄一郎代表は2017年の全要素生産性では政府のシミュレーションでも「36年後に積立金が枯渇する」と指摘し、共産党の志位和夫委員長もマクロ経済スライドをやめて富裕層の保険料増額で「減らない年金」にすることを提案。だが、安倍首相は志位委員長の質問に答える番になったとき、前の質問者だった玉木代表の話を持ち出して「拍手が起こった」などと言い出した。ようするに、“年金積立金が枯渇することを喜ぶなんて、政府を批判したいだけだ、なんと卑しい”と印象付けようとしたのだ。 しかし、これはとんだ「でっちあげ」だった。 国会中継を確認すると、玉木代表が「いま総理がやるべきなのは、国民に、どういう年金の姿になっているのかを、正直に語る政治を実現することじゃないですか」などと語ったときに拍手が起きていたが、「積立金の枯渇」について言及したときは小さなどよめきが起きただけで、拍手の音は聞こえてこないのだ。 起きてもない拍手をでっちあげて、野党に対して印象操作をおこない、年金制度追及をごまかす……。卑劣というか、これではデマで野党を攻撃しているネトウヨサイト以下と言ってもいいだろう。もし安倍首相が「嘘」という自覚がないとしたら、自分の都合のいいように事実をねじ曲げるサイコパスと言うほかない。
大嘘その4 「まるで私たちがですね、統計をいじってアベノミクスをよくしようとしている、そんなことできるはずないじゃないですか。そんなことできるはずがないんですよ」2月4日、衆院予算委員会
昨年末、「毎月勤労統計」の不正調査問題が発覚したことで、2018年の統計調査手法の変更によって賃金伸び率を上振れさせた“アベノミクス偽装”疑惑が浮上。しかも、調査変更をめぐっては、中江元哉首相秘書官(現・財務省関税局長)や菅義偉官房長官が厚労省に圧力をかけるなど暗躍していたことまで判明したが、安倍首相は統計調査変更による“アベノミクス偽装”を否定し、こう逆ギレしてみせたのだ。 しかし、「できるはずがない」と言うものの、実際に2018年の実質賃金伸び率は1~11月で5カ月がプラスとなっていたものが、実態に近づけた野党側の試算ではプラスになったのは1カ月だけ。厚労省もこの結果を「(厚労省が試算した場合も)同じような数字が出ると予想される」と認めている。いや、そもそも安倍政権は2016年12月にGDPの計算方法を変更し、それによって名目GDPを大幅にかさ上げするという“前科”まである。そして、安倍首相はその恣意的な数字を強調し、「名目GDP過去最高」などとアピールに使ってきたのだ。 統計をいじってアベノミクスの効果を演出する。これは国民を欺く詐欺的行為だが、安倍首相は「そんなこと」までしてしまっているということの重大性を、いま一度考えるべきだろう。
大嘘その5 「(トウモロコシを)買うのは民間、政府ではない」8月25日、日米首脳会談後の記者発表で
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」。首脳会談後にわざわざ予定になかった記者発表を開くと、トランプ大統領がごきげんな様子で切り出したこの話題。しかも、トランプ大統領は安倍首相にも「トウモロコシについても発言を」と催促し、対する安倍首相は、まずいと思ったのか「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正したのだった。 まるで民間企業が買うのであって政府は関係ないと言わんばかりだが、実際は違う。農水省は飼料用トウモロコシの前倒し購入を決めた企業に対して保管料や購入代金の金利分の補助をおこない、この補助には最大32億円の税金が投入されるのだ。 しかも、ひどかったのは、この“トウモロコシ爆買い”を正当化するために安倍政権が「害虫被害のため」などとさらなる嘘をついたこと。これには農家からも「それほど被害は出ていない」「影響はあまりない」という声があがっていたが、それを裏付けるように、米国産トウモロコシ購入の補助制度は9月に募集を開始したのに、3カ月ものあいだ申請はゼロ。今月中旬にようやく初めての申請があったという。 最終合意した日米貿易交渉も安倍首相は「両国にとってウィンウィンの合意」などと言ったが、それも大嘘で、日本がアメリカに売り渡す農産物市場はなんと約72億ドル(約7800億円)。トランプのために際限なく国益を差し出す“ケツ舐め外交”を、恥もなく安倍首相は来年もつづけるのだろう。
橋ーーこの項、下に続きます。嘘パレードが(# ゚Д゚)
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