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芥川賞「百年泥」読後感


読了感想です

〇同時受賞の「おらはおらで」よりも読めた

「マジックリアリズム」手法が用いられているとされるがそれは翼をつけた人をかかなければこの小説が成り立たないかと言うと疑問。理由は翼を付けた人の意味する者について、どの評者もその暗示することについて解明していないからである。シュールリアリズムがフロイトやユングの深層意識に繋がる表現主義とするなら、この作者は「百年泥」の前に立ちすくみ、そこから表出したものを丁寧に書き込んでいく、それでこの小説は立派に成立している、と思う。

〇評者の意見に対して 以下

 ●山田ーー自分探しで無い労作、傑作ー同感

 ●小川ーー最後の教え子の半生はインドの情報になっていて残念ーー半分賛成 

   ●島田ーー情報の溢れたゲンダイ、小説とルポの線引きをどこにするかーー半分理解。

◎以下は本文内容について

 ●インドの背後にある捉えられない闇、カーストや名誉殺人を暗示したかったーー作者の意図は解る。私、橋も名誉殺人り不情理性についてはかいたことがあります。「ブンタロ。〈名誉殺人〉についてはどう思う」「どんなだったかいな、それ」「ド忘れしたか、飲みすぎじゃないのか」「お前ほどじゃない」「何を言う。俺が三杯の時、亭主は八杯やっている。名誉殺人とはレイプを含めて婚前性交と婚外性交した女性は家族の名誉を汚した者として一族の男性によって殺害されるを可とする習俗だ。驚くなかれ、国連発表では年に五千人ほどの女性が殺害されている」「歴史的宗教的経緯があるにせよ、反対だ。いかなる殺人にも与しない、死刑制度も同様だ」以下です

 ●「月光仮面がいた」--笑わせてくれた「多くの月光仮面がいた」の方が面白かったのに

 ●「泥まみれの山、それらの前世はカーペット」--「前世」の表現はうまいな

 ●「生半可教師が落ちる地獄は教室に他ならない」-簡略にしてうまい

 ●「蹌踉【そうろう】ーーよろめいての意味ーーーこれ、知らない単語でした

 ●「トーサンのたたりおそろしトサンかな」---笑った

 ●「仏教の創始者はどこの国の人ですか」に「中国」--さもありなんと笑えた

 ●「ぐよ」は仏教に少し理解あるなら「供養」つてすぐわかりますね

 ●ここはおかしい。   私の家に家庭訪問にきた担任が、訪問後のレポートに「保護者は指導に同意した」と記入した。--それがなせ私がわかるの

 ●五巡目のおじさんにお金を貸してインドにきたーー旨くわかりやすい表現

 ●「どうやら私達の人生は不特定多数の人生の張り合わせ」と結論するならわかりやすい、ユングの集合意識に繋がるからです。評者の誰もそれを指摘していない、そのいみでゆんぐが仏教に深い関心を示したという事実です。

 橋ーー私は私であり、不特定の多くの過去生に繋がる、これが「百年泥」の正体なのですが作者は現在のインドの実相を描く、ルポみたいに。そして人生の真相に至っていない。

 印度人の学ぶ日本語のオカシサなら、「外国人の学ぶ日本語教室」にオモシロイ例はいっぱい見られます。島田氏が言う「これ、ルポじゃないの」の疑念はここからきますね

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