西郷と維新
わが畏敬する作家の陽羅義光氏(全作家協会会長)が、最近の協会HPの「ヒラリズム」の中に、上記タイトルのエッセーを書いていたに、まったく共感し、転載します
第二百三十話 西郷と維新 陽羅 義光
すこし前に「西郷と竜馬」ですこし書いたが、書き漏らしたこともあるので、今 回は西郷どんに絞って少々。 「西南の役」 の原因は殺伐としたものなので、興味のある方は私の、 『SAIGO(二十一世紀の西郷隆盛)』 を読んでもらうとして、どうして西郷は野に下ったかと言うと、これは、 「征韓論」 の件ばかりではない。 西郷は明治維新成って十年近く、 (こんなはずではなかった) と思い続けていたのだと、今では確信している。
内容は変えずに、私の口語訳で、西郷の述懐を。
【新しい国家誕生の始まりに立ちながら、家屋を飾り、衣服を飾り、美しい妾を囲 い、あれこれ企んで蓄財に励むばかりでは、維新の功業は遂げられない。今となっ ては、戊辰戦争での善戦も、私的な営みの姿に成り果て、天下に対して戦死者に対 して、全く面目ない】
こう語りながら、西郷はしきりに涙を流していたそうである。 これが現在の保守政治家が手本とする、明治政府の有様である。 明治政府のやった大きな仕事のひとつは、明治維新の正当性と正義性を証明する ための歴史の捏造であった。 「江戸時代は庶民が抑圧され弾圧され続けた暗黒の時代であり、明治国家はそんな 悪辣な徳川幕府を倒し天皇を戴く正義の担い手である云々」 新政府は幕臣の勝海舟や榎本武揚は重用したが、同じ幕臣の小栗上野介は惨殺し た。 大隈重信はこう語っている。 「小栗は謀殺される運命にあった。なぜなら明治政府の近代化政策は、そっくり小 栗のそれを模倣したものだからである」 ひどいものだが、政治家のこのやり口はいまも変わらない。
現在の保守政治家には、西郷の感受した憂いは毛ほどもない。 竜馬も大久保も木戸も要らないが、今こそ西郷が欲しい時代である。 新しい西郷の登場なくしては、現代日本の荒み汚れた状況打破は成り得ない。 アメリカの奴隷に甘んじている安倍政権、それでよしとする奴隷根性の国民。 あらゆるネット犯罪の氾濫、氾濫するネット犯罪を予知予防できない警察と司法。 親殺し、子殺し、仲間殺し、無差別殺し。 人殺しの宗教団体に税金も課せない、公明党がらみ政権。 こんなひでえ時代ってあったと思うかい。 西郷どん、よろしくお願いします
以上です。上記写真本は彼の著作で、ワンは鹿児島弁監修を依頼され、わずか一か所指摘させて貰いました。後書きにワンの名前が紹介されています。ジャジャジャン〈おお、半年ぶりの自慢( ´艸`)〉あれぇ。勝手に引用したけれどいいのかな。ま、太っ腹の彼は許してくれるでしょ!