サイコロジー❼期⑯ー我ん張らない⑧
病気になったときの治療法と対策 非定型うつ病かもと感じたら、まずどうすればよいのでしょう。
「気持ちが落ち込むとともに、これまで関心を寄せていたものに興味が持てず、気力や集中力の低下、疲労感、睡眠障害などが2週間以上続いているなら、まずは『うつ病』を疑い、心療内科か精神科を受診しましょう。そして、このほかに過食や過眠など特有の症状が見られる場合、非定型うつ病と診断されます」
非定型うつ病の治療の中心になるのは、投薬とカウンセリング。
「薬は、定型うつ病と同様にSSRIなどの抗うつ薬、安定剤、抗不安薬などが症状に合わせて処方されます。ただ残念なことに、定型うつ病では高い効力を発揮するこれらの薬が、非定型うつ病では、あまりよい結果が得られていません。そこで、並行してカウンセリングが試されます」
トレーニングによって70%の人が改善するという報告も
カウンセリングのひとつが、認知行動療法と呼ばれるもの。 「非定型うつ病にかかる人は、やさしく穏やかで、自分の気持ちに反しても他者を尊重する傾向があります。それがほころんだときに苦しくなるので、自己主張するトレーニングを行い、自我の確立を目指そうというものです。方法としては、日常生活の中で落ち込んだときの出来事を書きとめ、自分の心のクセを把握していきます。この認知行動療法は、70%の人に改善がみられたとの報告もあり、早ければ3か月ほどで効果が現れはじめます」 また、治療には周囲のサポートも不可欠だといいます。 「励ましは定型うつ病ではタブーとされていますが、非定型うつ病では、やんわりと励ますほうが奮起のきっかけになります。また、自分が受け入れられているという安心感を持たせるために、スキンシップも重要です」
非定型うつ病になったときの対策
改善するには、医療的アプローチだけでなく、日常生活の見直しも重要。落ち込みがちな人は試してみて。
その1 家事や仕事もいつもどおりこなそう
乱れた体内リズムを立て直すには毎日、目標を持った生活を送ることが大切です。掃除や洗濯などの家事は、すぐに成果が見えるだけでなく、生活環境が整うので、その日の目標にするには最適。仕事を持つ人は、できるだけ普段どおりに出勤し、仕事に取り組んでみましょう。
その2 ダラダラ食いや欠食はやめよう
食事は、1日の生活にアクセントをつける重要なポイントです。3度の食事を規則正しくとることで、脳に定期的に血糖が送られます。すると脳が目覚めて、本来の機能を果たすのです。ダラダラ食いや欠食が続くと、脳が混乱し、生活リズムが崩れてしまうので気をつけて。
その3 お日様の光を浴びよう
私たちの体の中に組み込まれた生体時計は、朝の光を浴びることでリセットされ、24時間サイクルを刻みます。そのため、日の光はしっかり浴びて。さらに、外に出てウォーキングなどの有酸素運動を加えれば、心を安定させる脳内物質、セロトニンの分泌が促され、晴れやかな気分に。