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菅新政権論

自民党長期政権を説明するに振り子論があった。大まかだが、政治の岸から経済の池田へ、田中金権からクリーン三木へと振り子のように政権が動いた事で政権交代にも似た期待感を国民に造ったという理論である。しかるに安倍政策継続を謳った菅新政権を見るに、脱派閥を主張してきた当人が主用派閥に担がれ、立候補前に当選確実視される異様な事態となった。その総裁選挙だが、政治的空白を作らず早急に選出する必要から党員選挙は行われず、となった。実際は殆どの県で投票による党員選挙を実施できた事から、やろうと思えば全国党員選挙は可能だった訳である。次期総裁選に繋がるのが二位争いだったが、岸田氏が二位に滑り込んだのは国会議員票の中に「施し票」があったからだとされる。「党員選不実施」も「施し票」も根底には「石破氏排除」の動きがあったからだと指摘した評論家もいたが、さて。総裁選が盛り上がらなかった背景には主要派閥の勝ち馬に乗る論、つまり既得権益保持の目論見が優先し、派閥内では猟官運動が先立っていたとしたら情けない。組閣後に菅新総理は「こんな筈じゃなかった」と洩らしたと南日本本紙は伝えていたが真相は如何に。さて新内閣の重点課題だか、何よりコロナ対策が喫緊の課題だろうし、東京都医師会長も指摘した特措法の見直しにもかかるべきと思う。その為にも国会で審議を尽くしてほしい。まさか突然の解散・総選挙となって政治空白を作る愚挙はなされないと思うが。

安倍内閣で真相解明がなされなかった森加計桜問題も究明努力をして欲しい。財務省で赤木さんという自殺者迄出した森友問題ではキーパソンとされた昭恵夫人付きだった経産相職員の谷査恵子氏は事件後イタリア大使館に出向していたが八月に帰庁しているので、承認喚問は可能なはずだ。安倍政権の悲願の検察庁法改正は結局ならず、検事総長は順当とされた林氏が就いたが、再任の上山法相は林氏とは反目の間柄とされる。今後の河井元法相夫妻の選挙違反も含む、他の政治案件裁判の展開が気になるところである。また、新設のデジタル改革庁がどんな働きをするかにも関心がある。メディア規制の動きにならない事を願う。

菅氏は官房長官時の定例会見で記者質問に「全く問題ない」とか「批判は当たらない」など問答無用の打ち切り応答が少なくはなかった。新加藤官房長官にはより丁寧な応答、説明を望むところである。河野元防衛相も記者質疑を拒否するなど高飛車姿勢があった。今回は政権目玉の行革相に横滑りとなった訳だが、地上イージスは「費用対効果が望めない」と打ち切りにした手法と同様、辺野古新基地も費用対効果上問題ありと即時中止の辣腕を振るう事を期待している。加えて行政改革は国民の納得がいく進め方をして欲しい。コロナ禍で明らかになったように、いつの間にか公立病院の病床、職員が激減していたでは困る。国民への丁寧な説明を望む。

最後に、安倍元総理は自身の評価について「国民が判断する事」と最後の会見で放り投げたが、判断の材料となる公文書の改竄や破棄を推進した政権だった感はぬぐえない。新政権には公文書の管理を徹底して貰いたい、民主主義の根幹だと思うからだ。ーー南九州新聞コラム24日掲載


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