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三丁目の夕日⑪


「三丁目」はシリーズで、主人公「一平」君の名に平和への願いが込められている事は、最初に紹介しました。コミック中に、戦争や平和がテーマとして挙げられている少ないのですが、「戦争と平和」が描かれているのを捜してみました。終戦記念日を前に連番を飛ばし、筆者の追想も無しの紹介です。

【戦友】。新聞で(戦友会)の告知を見た鈴木オートの鈴木さんは奥さんに出席すべきか聞きます。「南方連隊にいたとは知らなかった。戦争中の話は全然しなかったから」と奥さん。「思い出したくないんだ、まるで地獄だったからな。中隊三百人のうち生き残ったのは十何人だけ。敵と戦って死んだのが三分の一で、残りは殆どジャングルを敗走中に病死、衰弱死だった。今でもあの時の事を夢に見てうなされるよ」「私だって実家を空襲で焼かれて酷い目にあったし、あんな戦争はもうこりごり。戦争には負けたけど平和が訪れて良かったわ、貧しくても幸せに暮らしていけるし」と会話。その夜、二階から打ち上げ花火を見た鈴木さんは、大砲弾の飛び散る戦場の夢の中で、戦友の牛島さんと話します。「牛島、俺達生きて日本に帰れそうもないな」「そんな気の弱さでどうする。俺は何が何でも生きて帰るぞ」と言い家族写真を見せて語る牛島さん。「俺は散髪屋をやっていたんだ。家で女房が女手一つで俺の帰りを待っている。鈴木、お前は生きて帰ったら何をしたい」「俺は車の修理屋をやりたい、そして美人の女房とかわいい子供も欲しいな」「その為にも生きて帰ろうぜ」と約束し、そして終戦。

鈴木さんは牛島さんと会いたい気持ちが強くなり戦友会に参加します。そこで再会した牛島さんは元気そうで散髪屋をやっていると語ります。彼を自宅に引き連れて、再び飲み始めた二人です。「今日は多くて盛会だったな」と鈴木さんが言うと「違うぞ、来ていた川原に青田、堀川、上村は戦死したじゃないか。みんな幽霊の出席者だったのさ」と教える牛島さん。「だけど鈴木、お前は幸せだったよ。美人の嫁さんも可愛い子供もいて」「お前だって」「いや、あれは嘘だ。帰国してみたら理髪店は空襲で焼かれ女房は死んでいた。それからの俺はまるで幽霊さ」と語った牛島さんでしたが、泊ったはずの翌朝、彼は跡形もなく消えていたのでした。その時、鈴木さんは「そうだった、彼は総攻撃で死んだのだった」と記憶が蘇るのでした。その夢は終戦記念日の朝でした、というお話

【台風の夜】台風を前にろうそくを買いに出た一平君は遠くまで行ってやっと買えたのですが、帰りが遅くなり暴風の中、水玉の服を着た少女の霊に出会い、ビビって帰ります。家には往診中に雨宿り中の宅間先生がいました。ろうそくの灯りの下、「空襲を思い出しますね」という話が出ます。老医師は空襲で娘さんと奥さんを亡くしていたのでした。翌日、崩れた山から出て来たのは爆弾と水玉服の人形。それは、先生の亡くなった娘さんが生前可愛がっていた人形でした。彼は人形を大切に持ち帰るとお墓にお供えするのでした、というお話。

 「九条の会おおすみ」では今年も終戦記念日に氏名入り護憲広告を本紙掲載予定です。ご賛同とお問い合わせは08039461891てつと迄お願いします。ーー南九州新聞コラム掲載済み

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