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三丁目の夕日⑳


コミック「三丁目の夕日」から題材をとった追想記で、時代は昭和30年代である。戦後10年を経て、新憲法下、国家という軛〈くびき〉から解放され〈個人として〉国民が生活に勤しみ始めた時代と言える。BGMには「私の青空」をお勧めしたい。歌詞の一部である。〈夕暮れに仰ぎ見る輝く碧空 日が暮れてたどるは我が家の細道 狭いながらも楽しい我が家―略―恋しい家こそ私の青空〉。冒頭の【】はコミックのタイトルである。

【侵略者】。鮎子さんは迷っていた。お見合いして結納を一週間後に控えた日、付き合っていた海野さんから電話が来て明日公園で会いたいと言われたのだった。貧乏学生の彼はやっと就職が決まり、明日サプライズで鮎子さんに求婚するつもりでいたのだ。ところがそこに現れたのがエイリアン。宇宙船にのってやって来た彼らは侵略が目的でなく防衛の為だという。理由は、二人の子孫にノーベル級の学者が生まれ、その発明で地球人が宇宙に進出して彼らの星の安全が破壊されるのだという。よって明日二人が会わねば結ばれる確率は〇%と出た。目的達成の為に秘密兵器も準備した宇宙人達だった。その秘密兵器と言うのは〈大量降雪機〉だったのである。翌朝。見た事もない大雪の中を公園に向かう海野さん。電話回線も不通となり雪を掻き分けて行くしかなかったのだ。そこに現れた鮎子さん「この雪の中を進みながら考えたの、貴方しかいないって」。二人の必死の合流を見届けた宇宙人曰く「地球人は戦争の好きな野蛮な民族と思っていたが、地球人の心にこんな素晴らしい愛がある限り、宇宙の平和はきっと守られるであろう。作戦終了、帰星」というお話。

【コウモリ】。鈴木さんの家で〈コウモリ〉談義になっている。燕は益鳥だから大切にしなければいけない。コウモリが一晩に食べる蚊や蛾などの害虫は一晩に五百匹以上で燕より益獣なのだがね、と言いつつ、天井裏にコウモリの群れをみつけて、気味が悪いと翌日に追い出すのである。追い出された一族は近くの空き家に住い、そこで〈こうもり〉談義である。「昔、ある時、鳥と獣が大戦争を始めた時、夜に飛べる我らコウモリは優秀な偵察兵の役割を果たすと両陣営に思われた」「そこで獣陣営はこう誘った、毛が生えているんだから僕らの仲間だ」「鳥陣営は、飛べるのだから鳥の仲間だ」と。それに対してコウモリの答えは「僕はどっちでもありません。だから中立を守ります」「こうしてコウモリは戦争に参加せずすみました。そしてその後、鳥と獣たちを仲直りさせて悲惨な戦争を終わらす役目を果たしたのです」で終わりです。

 筆者の家にもコウモリさんが住み付いていました。数年程二階の雨戸の棚にです。台風で雨戸を出してそのままにしてたら、出した雨戸の中に数匹が住み付き、観るのが楽しみだったのですが糞が溜まっていったので、不本意ながら引っ越して貰いましたね。ヒヨドリさんかムクドリさん達も十年程、書庫の天井で毎年ヒナを孵〈かえ〉していました。彼らの子育ては二匹の親が六匹ほどの子育てのために交互にエサ取りに出るのです。よそ10分間隔を一日中。それは健気で、幼児虐待の絶えない人間どもに見て欲しいと思ったくらいです。

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