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三丁目の夕日⑲


コミック「三丁目の夕日」から題材をとった私的追想記で、時代は昭和30年代である。戦後10年を経て、新憲法下、国家という軛〈くびき〉から解放され、〈個人として〉国民が生活に勤しみ始めた時代と言える。筆者の小中学時代である。【】はコミックのタイトルである。

【十姉妹】。十姉妹(じゅうしまつ)を飼うのが友達の間で流行り始め、一平君も小鳥屋さんに見に行く。番(つがい)で230円と知り、お小遣いで買えると思った。番でチャボが1200円、一匹では目白が1300、インコ900円とあった。しかし、鳥箱の庭箱が650円にツボの巣が80円、水入れにエサ入れが50円、そして餌のボレー粉(卵殻などが砕いてまぜてある)などが別に千円近いと聞いて諦める。しかし両親に強くねだって買ってもらう事となる。飼育の為に早起きするようになり両親も喜び、小鳥たちも増えて喜ぶのだが、やがて熱も冷め、冬がくると朝寝坊するようになり、母親に飼育をまかせるようになる。ある日、母が餌やりを間違えて親鳥一匹を残して全滅。〈生き物を飼う資格〉を自分に問い、それから、残った一匹の親鳥を大切に飼育するようになった、というお話。

 筆者も小学生時にはメジロやホオジロをたくさん木箱で飼ってました。メジロ用の落し籠も手づくりし捕獲する上級生もいましたがそこまでは出来ずに、餌やりが簡単なホオジロが多いでした。誰からか貰ったカスミ網(今は禁止です)で捕獲もしていました。菜種畑ではひばりの巣もたまには見つけてましたが、子供を育てる自信はなく巣を持って帰る事はありませんでした。親が見つけて来た鷹の幼鳥を飼った事もありましたが、成長して木箱に入らなくなり山で放鳥したりしました。ウサギも飼いましたね。今にして思えば金のかからないペットでした。いつ頃飼育熱が冷めたかというと高校進学の頃だったような。

【修学旅行】早川君たち三人組は修学旅行を楽しみにしていました。理由は一年前に転校して行った仲良しの駒田君と旅行先で会う約束が出来ていたからです。駒田君は身体は大きいのに優しい為、転校先でもいじめにあっていると聞き、励まそうと思っていたのでした。でも宿泊先は歓楽街で引率の先生たちもピリピリするような場所だったのです。翌日、待ち合わせの場所で三人は不良中学生に絡まれます。そこに現れたのは地元の番長で、難なく不良中学生を片付けます。彼こそ駒田君だったのです。彼曰く「いじめられているうちに強くなった。でも今ではみんなが自分を怖がるようになってーー。みんなと仲良くやっていた昔に戻りたいよ」と涙ぐむお話。

 筆者の中学の修学旅行は町内中学校の団体貸し切り列車での九州一周でした。ある有名な歓楽街に宿泊した時の事。食後、ホテルの屋上で同級生達が街頭を見下ろしてガヤガヤしていました。不思議に思っていると、スレンダー美少女のみどりさんが教えてくれました「あの女の人達は男の人を誘っているの」「何で?」「お金の為よ」。聞いた時、一気に彼女がオトナに見えましたね。五十年振りに会った古稀同窓会で彼女にその思い出を話してみたら、憶えていませんでした。自分にはショウゲキの思い出だったのですが(笑)

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