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スガ退陣と学術会議

 

 菅義偉首相は昨年9月の就任直後、日本学術会議から推薦された会員候補者6人の任命を拒否する前代未聞の判断を下した。“排除”された当事者は「任命拒否に象徴される学術軽視の姿勢が、新型コロナ対策の失敗を招き退陣に追い込まれた」と冷ややかに見る。

 学術会議の梶田隆章会長らは日本学術会議法に基づき、推薦通り任命するよう再三にわたって求めてきた。しかし菅首相は「人事」であることを理由に「総合的・俯瞰(ふかん)的」と述べるだけで拒否した理由さえ明確に説明しないまま、1年近くが経過した。


 6人のうちの1人、岡田正則・早稲田大教授は退陣について「官房長官時代から人事で行政組織をコントロールしてきたが、コロナ禍で国民への説明がうまくできず、国民も政治家も付いて来なくなった。忖度(そんたく)させて従わせる組織統制のやり方が限界に来ていることを示した」と分析。「学術に対しても人事の恐怖政治で従わせようとしたのだろうが、コロナ対策では専門家の協力を得て英知を集めないといけなかった。菅首相の手法は危機にそぐわないやり方だった」と批判した。

 同様に任命を拒否された松宮孝明・立命館大教授も「菅政権は発足から一貫して学術を軽視してきた。自分にとって都合の悪い専門家の意見に耳を傾けないという姿勢が任命拒否問題で象徴的に出て、その後のコロナ対策でもはっきり表れて、見事に失敗を招いた」と突き放した。


 「次」の首相は任命拒否問題にどう向き合うのか。岡田教授は「菅首相は過去に自身が下した判断について説明する責任が依然として残っている」と指摘。その上で「日本学術会議法では、推薦に基づき105人を任命することになっている。それが99人のままになっているのだから、次期首相は速やかに6人を任命し、違法状態を是正していただきたい」と要望した。【池田知広、岩崎歩】ーー毎日新聞9/3より転載

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