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「日米共同演習」論

本紙報道によると、日米共同訓練が26日から11月5日まで行われる。武力攻撃事態などを想定した「キーン・ソード」の一環で、中種子町の長浜海岸と旧種子島空港で自衛隊単独の訓練がある一方、臥蛇島と中種子町では艦艇や水陸両用車、ヘリコプターによる着上陸訓練などを予定との事。自衛隊員約三万七千、艦艇約20隻、航空機約170機、米軍からは約九千人、カナダ軍も艦艇一隻参加の大規模なもので、水陸陸用作戦、サイバー攻撃対処、統合電子戦、宇宙状況監視等の訓練が行われる。

ここで、「沖縄の負担軽減」を掲げた二千六年の「米軍再編計画」とは何だったのか検証したい。普天間基地から始める。琉球新報9月6日付け報道によれば、沖縄防衛局の目視調査によると、普天間飛行場で航空機が7月に離着陸などした回数は1194回で、昨年7月の670回より78・2%の大幅増となっている。騒音防止協定の時間外となる10時以降の夜間飛行は7月は48回で昨年の14回より多い。「負担軽減」は進捗していると言えるだろうか。コロナ感染でいえば16日は39人の新感染で計2826人の中に米軍関係者は407人と報道されている。

紙幅の都合で、九州山口の基地現況を簡潔に纏めたい。山口県岩国基地――厚木基地より第五空母航空団が移転し18年艦載機の移駐完了。普天間からは空中給油機部隊移転し、米軍関係者約1万200人、軍用機約120機と2500㍍級滑走路2本を備えて〈極東最大〉と言われた嘉手納を超える基地規模になっている。9月27日2名のコロナ感染者が出て基地内感染者は計8名となった。福岡県築城〈ついき〉基地――普天間の「有事展開拠点機能」の移設先の一つとして滑走路を普天間と同じ2,700mにする計画である。佐世保基地――再編計画に名は出ないが、実質「作戦基地」として、弾薬庫や米兵住宅〈一棟の建設費は4200万とされる〉に、LCAC〈上陸用舟艇〉の米軍唯一の海外拠点基地として建設拡充されつつある。佐世保港の83%が米軍管理水域となっている。新田原基地――今回訓練で200人の米兵が来る予定だが、初めて宮崎市内ホテルに宿泊計画が表明された。理由は基地内宿舎はコロナ感染者用に空けておく為という事に対し、住民から不安の声が上がり、県知事と宮崎市長が急遽、防衛省に出向き「米兵の基地内宿泊を」申し入れた経緯がある。16日には防衛省九州防衛局の広瀬律子局長が来宮し、基地外宿泊に改めて理解を求めたが、河野知事は「到底納得いく説明ではなかった。再検討を求める」と反発した模様。〈西日本新聞17日付け要約〉。他方では基地内に米兵200人ほどの専用宿舎を建設する動きも始まっている。上記、これらの米軍用基地機能の強化を「本土の沖縄化」だと指摘する声もある。

今期訓練では鹿屋基地には米兵90人とオスプレイ四機が来る計画で、米兵は「基本的に」外出禁止だそうである。筆者の懸念を幾つか述べたい。〇外出はなぜ「絶対禁止」でないのか 〇米兵のコロナ対策は万全か。〇火災事故が生じた場合の想定として、泡消火剤は持ち込まれないか。同剤は沖縄で使用されており発がん性物質を含む危険なものだからである。将来の懸念もある。共同訓練の強化に伴い鹿屋基地にも米軍側から新たな要請、つまり、FCLP〈空母艦載機の飛来訓練〉や滑走路の拡張に米兵専用宿舎建設の要求などがあがってこないかという等である。他方で、米大統領選と議員選挙に注目している。6月に米下院軍事委員会の即応力小委員会が、21会計年度の(20年10月~21年9月)国防権限法案を可決したが、その中で辺野古の新基地建設に伴う軟弱地盤対策について強い懸念を示したからである。今選挙で上下院とも民主党が多数をとれば、辺野古基地建設は白紙に戻るかも知れないとも考えている。--22日南九州新聞コラム掲載

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