日米同盟の真実
日本国民の多くは「米国は常に日本を軍事的に助ける」と考えているが、これは幻想に過ぎない。日米安保条約第5条は、「自国の憲法上の規定に従い行動する」としている。米国憲法では戦争権限は議会にある。従って、安保条約の約束は議会がOKといったら参戦する以上のものではない。 これまで米国関係者は「米国は軍事的に守る」と言及してきたため、日本国民も、その言葉を信じてきたわけだが、トランプ大統領は違う。彼の頭には「同盟国を守る」という考えはない。 今、世界で注目されている本がある。米国のボルトン前国家安全保障問題担当補佐官の著書「それが起きた部屋」(邦訳未発売)である。トランプを批判する内容で、今秋の大統領選挙にも深刻な影響を与えるとみられる。 米国内でも大きな話題となっているのだが、この中で日米関係に関する重要な記述がある。
2018年6月12日、シンガポールで行われたトランプと、北朝鮮の金正恩国務委員長の初の首脳会談についてだ。この会談で、北朝鮮はミサイル発射(実験)を行わないとする合意があった。トランプは、ここでも「アメリカ・ファースト」を主張。トランプにとって、北朝鮮が米国を射程に入れるICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験を中止してくれれば十分であり、日本や韓国が射程に入る短距離弾道ミサイルや中距離弾道ミサイルの実験を行うか否かはどうでもよかったのだという。 ボルトンは、トランプがこの会談後に発していたツイートを紹介している。 〈金正恩と北朝鮮は過去数日間に3発の短距離弾道弾を発射した。このミサイル発射は我々が署名したシンガポールでの合意に違反もしなければ、そこで我々が握手し話し合った短距離ミサイルにも該当しない。国連決議の違反にはなるかもしれないが……〉
「アメリカ・ファースト」のトランプにとって、海外の米軍基地は米国を守るものではない。ボルトンの本には、トランプ自身が「我々はアフリカから出たい。ドイツから出たい。我々の兵隊は米国本土にいることを望む」と述べていることや、「米軍の海外駐留は集団防衛や相互防衛のためではない、我々は彼らを守るために駐留している。しかし、同盟国は十分な負担をしていない。米国は(お金を引き出す)より良い取引戦略を持つべきである」と考えていることを記述している。 トランプが安倍首相を重要視するのは同盟国の首相だからではない。米国兵器を爆買いしてくれる「カモ」だからである
ーー孫崎徹。日刊ゲンダイ10日
橋ーー上論に全面賛意します