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みよちゃん最終回


「女はどうなった、モモ。発展があったかね」。

「おう、ついに合体したぜ」「何、合体だと。仕掛けたのか?」

「いや、みよちゃんがベッドにやって来た」「嘘だろ」「俺とお前の間に嘘があったか」「信じられん、どうして」「好き好き催眠をやったのさ」「何だ? それ」「気づかぬうちに施術者のオレ様を好きにさせる催眠」「そんなのができるのか」「合体の事実が論より証拠。なにしろ日本一の催眠術者(ヒプノシスト)様だからな。赤子の手を捻るも同然よ」

顔一面に自慢の文字を貼りつけて語った。が、伏せた言葉がある〈俺への信頼(ラポール)が生まれていたからこそ、好き好き催眠をみよちゃんが受け入れたのさ〉というもの。

一瞬、目を泳がせたヤツだったが、訊いてきた「良かったじゃないか。となると、いよいよゴールインか」

「ところが。翌日には彼女は消えていた」「どういう事だ」

「簡単に言うと、逃げられたという訳」「何だぁ、それ」

「好き好き催眠は一時的なもので、永続性が無いっていう実証」。

笑いを爆発させたモモが語る。

「というよりブン、不本意に好き好き催眠をかけられていたという裏切りに彼女が怒った、が真相じゃないのか。真相の字は真実の方で、心理の深層じゃないぞ。結論、口先じゃ女はモノにできないという事よ。いい思いをした合体は一炊の夢、否、一夜の夢だったと諦めるしかないな。人間性だぜ。男女の結びつきはそれに尽きる。そんな調子じゃお前の再婚なんてずっと先だな」

唾を飛ばしながら笑い続けるヤツに言ってやった。

「マスクして笑え、モモ。コロナウイルスを撒き散らかすんじゃねえよ」。

それでもヤツは笑いを止めようとしない。        終

は橋ーーおしまいです。お付き合いに感謝しますり。

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