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みよちゃん⑨ーー実存ヒプノ十二

  • 執筆者の写真: 雄幸 土橋
    雄幸 土橋
  • 2020年4月22日
  • 読了時間: 1分

五十前後らしき女性だった。二十年近い昔に三歳の息子を死なせたと言う。若かった父親が些細な出来事で息子に腹を立てて外に追い出し、雨の中、氾濫していた側溝に落ちて溺死(できし)で発見されたと語った。

 自分が外出さえしていなかったら、息子の死は防げたのではという自責感に今も付き纏(まと)われたままだ、という。希望は〈自分が外出していなかったら〉の〈たら・れば〉ヒプノである。

「息子の生きている世界が見えたら、どんなに嬉しいか」と語った女性に告げた

「でも逆に、今生での罪責感が大きなものになるとは考えられませんか」。

答えない女に続ける

「ご依頼ですからやりますが。こんな言葉を聞かれた事は無いでしょうか。『愛する者を失った人にとって死の原因追及はなんの慰めにもならない』、というものです」。

答えずに首を振った女に続けた

「麻暮某という探偵の言葉なんですがね。ま、さして有名じゃないからご存じなくとも不思議じゃないが。尤(もっと)も探偵と異なって、当方はセラピストだから原因追及に助勢する訳ではありません」

と言いながら、横目でみよちゃんを観察していた。さりげない横目での観察、それが特技になってきている。ーー続く

 
 
 

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