コロナ対応批判「裸の王様」
コロナウイルス対策がズレまくっているのは、政権中枢内の亀裂が主因か。17日の安倍首相の会見でも、その一端が見えた。 朝日新聞の記者から、批判を浴びた布マスクや星野源の動画便乗を自身でどう評価するかと問われた安倍首相は、コロナ対策の全てを自画自賛。「御社のネットでも布マスク、3300円で販売しておられたことを承知しております」と皮肉った。 普段はプロンプターに頼りきりなのに、大嫌いな朝日を揶揄する時は値段までスラスラと出てくる。一国の首相が公の場で特定のメディアを当てこすってドヤ顔とは、器の小ささにアキれるほかないが、問題はこの情報の“ネタ元”だ。 実はこの一件、4月上旬から作家の百田尚樹氏も<さ、さすがは庶民の味方、朝日新聞。出血大サービス!>などとツイートするなど、いわゆるネトウヨ界隈で盛り上がっていた。安倍首相は以前、ヘイトスピーチで訴訟沙汰にもなったネトウヨ系の「まとめサイト」をフェイスブックでシェアし、物議を醸した。今回もネトウヨサイトが情報源だった可能性があるし、あるいは側近官僚の入れ知恵かもしれない。
不評を買った星野源動画と布マスク送り付けは佐伯耕三首相秘書官、一斉休校は今井尚哉首相補佐官の発案といわれる。いずれにせよ、情報源が極めて偏っていることは間違いない。 ■側近官僚の言うことしか聞かない 「現実が見えず、何が正しいかの判断もできなくなっているのではないか。今の安倍首相は裸の王様そのものです。政権の危機管理を担ってきた菅官房長官を遠ざけ、側近の官邸官僚の言うことしか聞かなくなっている。与党との連携もうまくいっていない。官邸は機能不全に陥っています」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏) 安倍首相が「全国民一律1人10万円」の現金給付に転換せざるを得なかったのも、機能不全の表れだろう。遠ざけられた菅と二階幹事長がパイプのある公明党を動かし、安倍首相を突き上げたからだとみられている。
この方針転換が面白くない麻生財務相は「手を挙げた人に10万円」とケチをつける。当初は「困窮世帯30万円」を発表した岸田政調会長も面目丸潰れ。求心力を失った安倍首相の周囲はバラバラで、官邸も一枚岩ではない。 閣議決定を経た補正予算案を与党から覆されるという前代未聞の失態をさらし、安倍首相の孤独はますます深まる。側近官僚のヨイショを心のよりどころにするしかないのだろう。そんな裸の王様に国難対応を任せられないのは自明だーー日刊ゲンダイ20日より転載
橋ーー上論に全面賛意します。