コロナ対策批判①
〈なぜ初期に検査を拡大しなかったのか〉――。新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査をめぐり、こんな声がネット上で噴出している。キッカケは、11日放送されたNHKスペシャル。厚労省クラスター(感染者集団)対策班メンバーで東北大の押谷仁教授の発言が物議を醸しているのだ。 クラスター対策班は今まで、医療崩壊や院内感染への懸念という「言い訳」を並べて検査数を抑制してきた。さいたま市の西田道弘保健所長も10日、市内でのPCR検査が2カ月で171件にとどまっていることについて、「病院があふれるのが嫌で(検査対象の選定を)厳しめにやっていた」と本音を漏らしている。
ところが、押谷教授は、「PCR検査を抑制したからこそ日本はギリギリ持ちこたえている」とのこれまでの主張を一転、番組内で「本来、医師が検査を必要と判断しても検査ができないような状況はあってはいけない」「現在感染者が急増している状況の中で、PCR検査が増えていかないという状況は明らかに大きな問題」――と指摘。今ごろになってPCR検査の拡充を訴え始めた。
安倍首相も検査拡大に前のめりだ。6日にPCR検査能力を1日2万件に倍増させると表明。緊急事態宣言を発令した7日には、テレビ番組内で「ドライブスルー(検査)も含めて検討していきたい」と今更ながら語った。 今ごろ、検査拡大を議論しているのは、他国に比べて“周回遅れ”もいいところ。欧米はPCR検査に加え、過去に感染があったかを調べる「抗体検査」にも着手した。山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)がこう言う。 「検査が感染症対策の基本なのに、日本政府は検査キットの不足や医療崩壊といった『検査しない』ための屁理屈を並べてきました。具体策を講じない政府に、国民はよく耐えていると思います」 国民はいつまで我慢を強いられるのか。ーー日刊ゲンダイ13
橋ーー上論に全面賛意します