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「きばいやんせ 私!」を観た


 やっとDVDを鑑賞できた。というのは去年の封切を見逃し、レンタル開始を待っていたのである。それが一月のレンタル開始時に店頭には僅か二本のみ。注文付けましたよ「南大隅町の映画なのになぜ二本しかないんだ」と。店員さんは申し訳なげだったのだが。

ネタバレしない程度に粗筋は少しだけね。不倫がバレてテレビ局のアナウンサー職を外されバラエティのレポーターとなった自称クソ女の再生物語である。その女性記者が取材で派遣されたのが南大隅町。「御崎祭り」の事前取材なのだが幼い頃過ごした町とはいえ、おざなり取材なので熱意も湧く筈がない。ところが、必死に盛り上げようとしている畜産業の同級生や、役場職員達、祭り保存会の人を始め、住民の人達が千三百年の伝統ある「御崎祭り」を続ける為に奮闘している姿に教えられ、自身が変化していくお話で、鍵となるテーマは「誇り」だと思いました。伝統や地域への誇り、仕事への誇りなど。以下は個人的好みからの感想です 

 ○冒頭。空港から最果ての地への車上で「携帯が不通とか、コンビニがない」の負の印象はカットして欲しかった。伊座敷には本土最南端の看板の立派なAコープがあります

 ○焼酎は白玉、小鹿,大海を公平に出してたのはノンゴロとして嬉しかった。以蔵さんはヒイキしすぎ。

 ○「良くも悪くも」が口癖の榎木孝明町長だったが、「良くも悪くも」は使い方によりけりで良くも悪くもに、なりますね

 ○岬食堂の女将,愛華みれさんの演技からは本人の自然な郷土愛がにじんでいて良かった。こんなお店が近くにあったらナと

 ○近くの「田中精肉店」はチラッと出ていたが、美味い餃子も紹介してほしかったな

 ○チラッと出たのは南大隅高自転車部ももっと出してほしかった、頑張っている南大隅高校の学校や生徒達も同じく

〇花岡なつみさんの主題歌もテーマに合っていて良かった。ラスト曲の映像には協力した町の皆さんの映像がもっと欲しかった。協力店の名前も小さすぎだった。  

○不倫キャスターと言え、ベッドシーン後の映像は不要。ファミリー映画には不向きだ。

 ○仕事に「誇り」をもってやっているのかと問う畜産青年と主人公のやり取りには考えさせられた。 

○上手とは言えないトランぺッターの演奏には好感を持ちました、自分と同レベルに思えて

 ○製作発表会見に集まった記者で南大隅町を知っていた人が実際一人もいなかったのには残念。もっと知って欲しいとする意図からすると佐多岬、雄川の滝など美しい自然ももっとアップして欲しかったなこの自然豊かな地が観光資源として、伝統遺産とも相まって評価が高まれば核ゴミの廃棄地候補などの愚策は消えるだろうからと。

最後に「誇り」とは何かと自身が考えた時、浮かんだのは「論語」です。

弟子の司馬牛(しばぎゅう)、君子を問う。子曰わく、君子は憂(うれ)えず、懼(おそ)れず。曰わく、憂えず、懼れず、それを君子と謂うべきか。子曰わく、内に省(かえり)みて疚(やま)しからずんば、何をか憂え何をか懼れん】です。

立派な何かを成し遂げずとも、心に疚しさが無ければ常に堂々としていられる。それを誇りとしたい、が、一凡人としてひそかな矜持(きょうじ)です

   -ー   南九州新聞コラム12日掲載

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