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報道対権力考③


 官邸記者クラブについて前回書いた。    動画では、司会の内閣報道室長が望月記者に質問制限を度々行っている。内閣記者会主催の記者会見なら司会を記者クラブの幹事社がやるべきで、官邸報道室長が仕切っているのが不当なのだ。県知事記者会見では幹事記者司会の下に、公平な質疑がなされ取材・報道の自由も尊重されていると思えるからだ。

 報道が統制下におかれたのは先の大戦で、報道管制下、言論の自由まで厳しく支配されて、挙国一致で戦争に邁進していった。が、新聞界は被害者ばかりとは言えない。自ら戦果を称え、戦争翼賛に加担した負の歴史も併せ持つのだ。「報道・言論、出版、表現の自由」が確立されるとなるには新憲法制定を待たねばならなかった次第である。

 報道の自由度を比較する一つに、〈国境なき記者団〉が毎年発表する(報道の自由度世界ランキング)がある。それによると我が国の一九年度は六七位で前年と変わらず、だった。ランクは180国の知識人の、87の質問に対する返答を基準にしている。「どのように報道の自由、情報の自由、表現の自由は保障されているか」「権力者がメディア関係者の解雇を強制するのはどれくらい簡単か」「メディアは一般市民が持つ様々な意見を反映しているか」等が質問である。ノルウェー他の北欧諸国が上位を占め、韓国四一位、米国四八位である。日本の場合、〈福島原発被害、皇族私生活、防衛事項〉等が国家機密として取材規制が厳しいと指摘されている。

 過去の最高順位としては民主党鳩山政権時に十一位がある。フリー記者も会見へ参加可能とする記者クラブ制度の改革、官庁の情報公開を進める、総務省管轄から電波規制局を外す、クロスオーナーシップ廃止など、メディア改革が検討された。が、安倍政権登場によって頓挫した。クロスオーナーシップとは大手新聞社がテレビ局を傘下にする事によって情報が独占・寡占状態になる事を示す。 

 最後に、国連人権特別委のD、ケイ氏が人権特別委員会に勧告した我が国の報道事情である。十七年度の改善勧告が昨年においても不履行のままだとした。 以下は、東京新聞の昨年六月五日夕刊による勧告内容の転載である。

😊【一、政府介入の根拠となる放送法四条の廃止。二、歴史的出来事に関し教材で示された解釈に対し不介入とせよ。三、教科課程の作成過程の完全な透明化。四、国連の真実・正義などに関する特別報告者の訪日の招請。五、政治活動を不当に制限するような公選法上の規定の廃止。六、沖縄における平和的な集会と抗議の権利を保障する為にあらゆる努力をする事。七、特定秘密保護法で、安全保障上問題なく公益に資する情報については開示しても処罰されない例外規定を設けよ。八、公益に資する情報の報道を促進する社会的規範の原則づくりを進めよ。九、特定秘密保護法の執行が適切に行われるよう専門家による監視組織を設置せよ。十、広範に適用できる差別禁止法を制定。十一、通信傍受に関する法律を制定するに当たっては、独立した法機関の監視下で極めて例外的な場合にしか、通信傍受は行わないと明記する】。

 以上である。国際的に妥当な勧告内容だと賛同する。

 橋ーー本日20日コラムで、拙くも「権力対報道」シリーズは四回でとりあえず終了です( ´艸`)

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