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米・イランとアベ・河野


新年早々、世界に激震が走っている。3日、トランプ大統領の司令により、米軍がイラン革命防衛隊で対外工作を担う先鋭組織・コッズ部隊のソレイマニ司令官をイラク・バグダッドで空爆により殺害した問題だ。

 ソレイマニ司令官はアサド政権を支援するイランのシリア内戦への介入をはじめとして軍事作戦の要となり、民間人を巻き込んだ殺戮をおこなってきた人物ではあるが、今回、いきなり空爆によって殺害するというトランプ大統領の作戦は、事実上の宣戦布告だと受け止められて当然の行為だ。実際、イランの最高指導者であるハメネイ師は、「血で手を汚した犯罪者は、重大な報復を受けるだろう」とアメリカに宣言。イランのラバンチ国連大使も「我々は目を閉じていられない。間違いなく報復する。厳しい報復だ」と語っている。今後、報復に次ぐ報復という軍事的衝突は避けられそうにない。

トランプ大統領は「我々の行動は戦争を止めるためのものだった」などと正当化しているが、そもそもイランとの緊張状態を高めたのは、トランプ大統領がイラン核合意から一方的に離脱したことにある。そして、今回のソレイマニ司令官殺害にしても、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判を控え、人気取り目当てで一線を越えたようなものだ。現にトランプ大統領はソレイマニ司令官殺害に関し、Twitterに星条旗の画像を投稿し、固定ツイートにまでしている。

 私利私欲のためには戦争状態をつくり出すことも厭わないトランプ大統領は世界の癌と言わざるを得ないが、言うまでもなく、これはけっして日本にとって他人事ではない。日本政府は中東海域に海上自衛隊の護衛艦と哨戒機を派遣することを、国会での議決をおこなうことなく先月27日に閣議決定。1月下旬にも活動を開始する方針だからだ。

 日本政府はイランとの外交関係も踏まえ、今回の自衛隊派遣はアメリカから要請されていた「有志連合」としての参加ではなく、日本独自で「調査・研究」目的で派遣することとし、活動範囲からもホルムズ海峡を除外したが、それは建前にすぎない。実際、有志連合には加わらないものの米軍との情報共有を進める方針で、それはイランからすれば米軍と一体化した“軍事行動”と映る。周辺海域で武力衝突が発生すれば、自衛隊が巻き込まれることになるのは言うまでもない。

 そうした危険性を孕む自衛隊派遣を目前にして、アメリカによるイランへの“宣戦布告”行動が起きたのだ。派遣された自衛隊の目の前でイランと米国の戦闘状態になる可能性は、さらに高くなった。

 そういった点から考えても、日本政府は即刻、中東派遣の中止を決定し、同時に“橋渡し役”をアピールしてきた安倍首相はアメリカとイラン両国に対して自制を呼びかけるべきなのだ。

 しかし、安倍首相はそういった動きは何も起こさなかった。それどころか、この“戦争前夜”の空気に世界が包まれる緊張状態のなか、一体何をしていたのかといえば、なんと、映画鑑賞とゴルフに興じていたのである。

 首相動静によると、安倍首相は昨日3日、朝7時から宿泊していた六本木のグランドハイアット東京内のフィットネスクラブで運動し、11時32分から同ホテル内の日本料理店「旬房」で昭恵夫人とランチ。午後12時34分にはTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて昭恵夫人とともに、映画『決算!忠臣蔵』を鑑賞した。

 言っておくが、共同通信が「米、イラン精鋭司令官を殺害 トランプ氏が指示、ヘリで攻撃」という記事をYahoo!ニュースに配信したのは、昨日の9時52分のことだ。当然ながら海外メディアはこれより早く報道している。なのに、その最中にも安倍首相はフィットネスクラブでじっくり汗を流し、昭恵夫人と昼食に舌鼓を打って、さらには映画まで鑑賞。産経新聞によると、〈上映前に自らポップコーンを購入〉したといい、映画鑑賞後には〈記者団に感想を問われて「大変楽しく見させてもらった」と笑顔で語った〉という。ちなみに、この映画はナイナイ岡村隆史がダブル主演を務めているほか吉本芸人が多数出演しており、最近、安倍首相がべったりの吉本興業が製作幹事だ。

河野防衛相も米イラン問題を無視し〈河野太郎さんってジョニー・デップに似てる〉に反応

世界中に激震が走るなか、ポップコーンを買って映画を観て、「楽しかった」と笑顔で話す……。唖然呆然とするほかないが、驚くことに安倍首相はその後、ホテルに立ち寄ったあと、まさかの私邸に帰宅。公邸に宿泊することもなく、さらに本日は朝7時33分に私邸をあとにすると、8時24分に千葉県袖ケ浦市にあるゴルフ場「カメリアヒルズカントリークラブ」に到着。籔本雅巳・錦秀会グループCEOや昭恵夫人の弟である松崎勲森永商事社長らと今度はゴルフを楽しんだのだ。

 しかも、安倍首相はゴルフ場で記者団に中東情勢について問われると、こう述べた。

「今月、諸般の情勢が許せば中東を訪問する準備を進めたいと思っている」

アメリカやイランに対して自制を呼びかけることがなかったばかりか、自衛隊中東派遣問題についても言及さえしない──。いや、そもそもなんでアメリカとイランの“橋渡し役”を世界にアピールしてきた人物が、戦争がはじまりかねないと世界が緊迫するなかで、何事もなかったように平然とゴルフなんかやっているのか。

 その上、愕然とさせられたのは、河野太郎防衛相の言動だ。

 前述したように、共同通信は昨日9時台に米軍によるソレイマニ司令官殺害を伝え、SNS上でも情報が拡散されて世界が騒然としていたというのに、河野防衛相は午前10時39分、〈親が河野太郎のツイッターを河野太郎だと信じない なぜだ… 防衛大臣そんな暇じゃないでしょとか言うけどどうなんだ…〉というTwitterユーザーのツイートに反応して〈そんな暇じゃない。〉と投稿。「そんなツイートしている場合か」とツッコまずにいられないが、さらにアメリカ・イラン両国要人の反応が報じられていた午後3時9分には、〈河野太郎さんってジョニーデップに似てる(笑)〉というユーザー投稿に対して〈逆。〉とツイートしていたのである。

 ちなみに、ソレイマニ司令官殺害を受けてドイツのマース外相は昨日、〈今は状況がさらにエスカレートして地域全体に火がつくのを防ぐことが大事だ〉とツイートし、フランスのルドリアン外相も同じく昨日、「すべての当事者に対して自制を求めるとともに、イランに対して地域の不安定な状況を悪化させたり、核開発で危機をもたらすような行動を避けるよう求める」と声明を発表している(NHKニュース4日付)。

 一方、日本では安倍首相も茂木敏充外相も河野防衛相も、4日20時現在、一言も中東情勢に言及していない。

 映画鑑賞とゴルフに興じる総理大臣に、“ジョニー・デップが俺に似ている”などとくだらないツイートをして遊ぶ防衛相……。これほどまでに情勢が緊迫し、それでなくても日本は自衛隊派遣を閣議決定していることから国民にも不安が広がっているというのに、安倍首相や河野防衛相は声明の公表はおろか、事態に対する受け止めも情報発信も何一つおこなっていないのである。

今回の米国の軍事行動について、日本政府は米国から何も知らされていなかったという。 安倍首相周辺はイランと米国の仲裁をするなどというPRをふりまいていたが、それどころか、安倍首相は何も知らず、国民に何も説明できないがために無視を決め込むしかなかったのではないか。

 いずれにしても、戦争危機に、国際社会のリーダーのひとりとして自制も呼びかけられず、国民に何も説明できない総理大臣と防衛相。日本も巻き込まれる可能性が高いのに、黙るしかないとは無能の極みだが、それはマスコミも同じ。海外メディアがアメリカとイランの切迫した状態を大々的に伝えている一方、日本のテレビはカルロス・ゴーンの逃亡問題ばかり取り上げ、アメリカ・イランの問題はまるで対岸の火事のようにさらっと伝えるだけだ

戦争の危機に世界が震えるなか、パラレルワールドのように安穏とした正月の時間が流れるこの国。安倍政権とそれに飼い慣らされたメディアの「平和ボケ」はここに極まれり、といっていいだろう。--リテラ4日より転載

橋ーー一言も発さないでなく、発せないのだろう、無能力故。大変なのは自衛隊であり、国民だ(# ゚Д゚)

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