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共同通信と望月記者②


安倍官邸が特定の記者を内閣記者会見から排除する動きを見せている。標的にされたのは東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者。沖縄県辺野古の米軍新基地建設工事をめぐる望月記者の質問を「事実誤認」「問題行為」と決めつけ、「事実を踏まえた質問」をするよう迫ったのだ。これは不当な取材制限であり、市民の「知る権利」を奪うものだ。

赤土は事実誤認!?

 首相官邸が難癖をつけたのは、菅義偉(すがよしひで)官房長官の昨年12月26日の定例会見における望月記者の質問である。沖縄県辺野古の海への土砂投入に関し「埋め立ての現場では赤土が広がっている。政府として適法かどうかの確認はしないのか」などと聞いた。  すると2日後、官邸は記者クラブ(内閣記者会)に対し、「当該記者の問題行為については、総理大臣官邸・内閣広報室として深刻なものと捉えており、貴記者会に対して問題意識の共有をお願い申し上げる」と文書で申し入れた。要するに、政府を厳しく追及する望月記者を嫌い、「こいつを締め出せ」と記者クラブに迫っているのである。  官邸文書は望月記者の質問を「あたかも現場で赤土による汚濁が広がっているような表現は適切ではない」「誤った事実認識を拡散することになりかねない」と批判する。同じ日付で内閣広報官が東京新聞に送った抗議文では「事実に基づかない質問は厳に慎む」よう求めた。  盗っ人猛々しいとはこのことを言う。土砂に赤土が混入していることは現場を見ればすぐに確認できる事実である。国が確信犯的に違法工事を行っている疑いがあるのだから、官房長官に見解を問いただすのは当然のことだ。  そもそも記者の質問を「事実誤認」を理由に封じようとすること自体がおかしい。事実ではないというのなら、その根拠を明確に示して否定すればいいだけの話だ。説明責任は政府の側にある。  政府が認めない「事実」が実は正しかったというのはよくある話だ。特に、隠蔽(いんぺい)・捏造(ねつぞう)を常習とする安倍政権の下では。たとえば、加計学園問題をめぐる「総理のご意向」文書である。菅官房長官は当初、その存在を記者会見で否定していた。  記者の質問内容まで政府見解の枠にはめようとする官邸の姿勢は「取材の自由」や「知る権利」を侵害するものだ。すべての市民に対して「お上の発表に疑問を持つな。お前らに知る権利などない」と言っているのに等しい。

飼い犬化した反応

日本新聞労働組合連合(新聞労連)は2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」と題した声明を発表した。日本マスコミ文化情報労組会議も18日付で声明を出し、「首相官邸の行為は、権力者による記者に対するハラスメント(いじめ、嫌がらせ)行為です」と厳しく抗議した。  当然である。だが、当事者である記者クラブの反応が鈍い。さすがに「記者の質問を制限することはできない」と官邸側に伝えたものの、あからさまな取材妨害に明確に抗議したわけではない。それどころか、望月記者を非難する声すら出ているという。 共同通信が2月18日夕に配信した記事は、「望月さんが知る権利を行使すれば、クラブ側の知る権利が阻害される。官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている」という「官邸記者クラブのある全国紙記者」の「困惑」を伝えている。ところが、後に再配信された記事では当該部分が削除されていた。  神奈川新聞(2/21付)の暴露によれば、記者クラブと官邸の癒着を疑われる恐れがあると「共同」が判断し削ったらしい。いやいや完全に癒着しているでしょ。国家権力の圧力に結束して対峙すべきなのに、官邸の意を汲んで「異物排除」に動くとは情けない。  動画配信されている記者会見の映像を見ればわかることだが、望月記者への嫌がらせはすさまじい。上村秀紀・報道室長が質問を何度も遮り、早く終われと促している。この妨害行為に他の記者は抗議ひとつしない。記者クラブ主催の会見なのに、政府の人間に主導権を握られている。

大本営発表の再来

 2月26日午後の官房長官会見でもこんな一幕があった。望月記者が「この会見を一体何のための場だと思っているのか」と質問したところ、菅官房長官は「あなたに答える必要はありません」と言い放った。政府の意に沿わない記者は徹底して無視するということだ。  一方、自ら進んで尻尾を振るメディアに対しては単独取材などの餌を与え、情報操作に利用している。追及らしい追及が皆無なので、安心して嘘八百を並べることができるというわけだ。   取材から逃げる大統領に対し、記者が「質問させないと国が滅びますよ」と迫る―。これは報道統制との闘いを描いた韓国のドキュメンタリー映画『共犯者たち』の一場面である。まったくそのとおり。報道が政府の嘘をタレ流すようでは民主主義は機能しない。大本営発表がまかり通った74年前の戦争のように国を滅ぼすことになる。ーーmdsweb3/19

橋ーー旧い記事ですが資料として転載しました

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