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正念場!「桜」


逃げ回る悪党を、追い詰めることができるか――。

「桜を見る会」をめぐる疑惑は底なしだ。連日、次から次へと新たな問題が発覚し、政府側は防戦に追われている。  野党は25日、追及チームを格上げした「追及本部」を設置。野党統一会派に共産党やれいわ新選組なども加わり、76人態勢に拡大した。参加議員は「山口・下関ルート」「ホテルルート」「昭恵夫人ルート」「名簿調査」など8チームに分かれて調査を行う。疑惑追及の枠組みとしては空前の規模だ。  野党の本腰追及によって、政府の防衛線もどんどん後退しているように見える。  警視庁などから悪質なマルチ商法を展開していた容疑で家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」の元会長が桜を見る会に出席していた一件は、日刊ゲンダイもかねて指摘してきたが、衛藤晟一消費者担当相は26日の衆院消費者問題特別委で「どこからどうして紛れ込んだのか不思議でしょうがない」と、参加を認めざるを得なくなった。  共産党の田村智子参院議員の調査によれば、2014年に消費者庁から行政指導されていたジャパンライフが15年の桜を見る会に招かれたのは、安倍首相の招待枠だった可能性が極めて高い。同社は首相名での招待状を大々的に宣伝し、信用につなげていた。安倍が悪徳商法の片棒を担いだ格好だ。  これとは別に、入れ墨が入った男性と桜を見る会で一緒に撮った写真が出回っている菅官房長官も、26日の会見で、反社会的勢力が出席していたことを認めた。「出席は把握していなかったが、結果として入っていたのだろう」というのだ。  これ、大問題ではないのか。反社と写真におさまった芸人は「知らなかった」で済まされず、廃業寸前にまで追い込まれるのに、安倍政権が公金で反社を供応しても不問に付されるのか。芸人を糾弾した国民世論もなぜ怒らない? そして常々、「政治は結果がすべて」とエラソーに言っていたのは、どこの首相だったか。とんだダブルスタンダードである。 「政治家は、法的責任だけでなく道義的責任も問われる。国のトップならなおさらで、国民に疑念を抱かせるようなことをすべきではないし、仮に疑われるようなことがあれば、証拠を出して潔白を証明すべきです。ところが、安倍政権では証拠になるはずの文書が次々と廃棄され、疑惑の中心人物が『不適切なところはあったが法的に問題ない』と居直ってきた。その程度でだませると、国民がコケにされているのです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)   今月14日、安倍が写ったポスターをペーパーナイフで切りつけた80歳の男性が、器物損壊容疑で兵庫県警に現行犯逮捕される事件があった。男性の供述によれば、桜を見る会をめぐる疑惑の数々に憤りを感じての行動だという。  器物損壊はダメだが、気持ちは分からないでもない。首相のポスターは別になくなっても困らないが、同じ紙を切りつけるのでも、公文書は国民の財産であり、国家の歴史そのものだ。この政権下で、安倍を守るために膨大な量の公文書がシュレッダーで切り刻まれ、捨てられてきたことの方が、よほど犯罪的だろう。  野党の追及本部の本部長に就任した立憲民主党の福山哲郎幹事長は、会合で「安倍政権のひどいやり方について真相究明する」と宣言したが、果たして勝算はあるのか。

法的な問題点を突きつけられたら逃げようがない

 通算在職日数が歴代1位になったことを受け、ヤフーが「歴代最長となった安倍政権、あなたは支持しますか?」という意識調査を実施している。投票期間は30日までで、26日夜の時点では、18万あまりの投票数のうち「支持しない」が約75%だ。ネトウヨの巣窟といわれてきたヤフーのコメント欄に「見え見えのウソ、忖度・隠ぺい・改ざん・破棄が目に余る」「嘘つきはアベシンゾーの始まり」などという批判的な声が並ぶことに驚くが、もちろん、野党をクサす安倍支持者のコメントも散見される。   モリカケ問題の時もそうだったが、代表的なのが「野党はいつまでこんな問題を長引かせるのか」「国会で議論すべきもっと大事な問題があるだろう」という意見だ。  だが、問題を長引かせているのは名簿も明細書も出さない安倍の方である。野党が要求しても、安倍が追及されるのを嫌がって与党が予算委の開催を拒否するから、災害の復興予算も進まない。この国の政治を停滞させているのが、疑惑まみれの安倍なのだ。  そもそも、立憲主義の礎となった「マグナ・カルタ」の時代から、政府の最大にして唯一の仕事が税の分配といっていい。税金は国家が強制的に徴収するミカジメ料みたいなものだが、それは国民との約束の上に成り立っている。国民に重税を課し、取り巻きと好き勝手に浪費するのでは封建時代の君主と変わらない。信用を失った政府が、どうして徴税権を行使できるだろうか。  税金を使った桜を見る会が、安倍や与党の選挙活動に利用されていた疑惑は到底、看過できるものではない。公金私物化は予算委、そして国会でただすべきど真ん中のテーマだ。 「今回は首相本人の疑惑で、トカゲの尻尾切りもできません。政治資金規正法や公職選挙法に抵触する可能性もある。国会として疑惑究明にあたるべき案件ですが、圧倒的議席数を持つ与党がかたくなに首相を守ろうとすれば、憲法第62条に定められた国政調査権も発動できないのです。霞が関もメディアも検察も官邸に忖度している現状では、どこまで真相が明らかになるか疑問です。だからこそ、野党の追及本部に期待するしかない。これ以上、国家ぐるみの嘘を容認していたら、法治国家ではなくなってしまう。独裁者の意のままにされる人治国家でいいのか、ここが分岐点ですよ。保身のために国民の財産である公文書を捨て続けてきた常習犯にこれ以上、悪さをさせたら、マフィア国家になってしまいます。野党が頑張って疑惑を追及し、それを国民が支援することが、民主主義のために絶対に必要です」(金子勝氏=前出) 民主主義を取り戻すための戦い  共産の田村が参院内閣委で「官僚の皆さん、こんなことやめましょうよ。ごまかして、偽って隠して、7年間繰り返してきて、今どうなってますか」と訴えると、その場にいた役人はうつむくしかなかった。勉学にいそしみ、高い志を持って国家公務員になったのだろうに、絶対君主として振る舞う安倍の尻拭いをさせられる現状には忸怩たる思いもあるだろう。だが、家族や生活のことを考えれば、権力に従うしかないのか。  このままでは、善人まで犯罪行為に巻き込まれてしまう。  高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。  「法的な問題点を安倍首相にきっちり突きつけるしかありません。桜を見る会では、利益供与の公職選挙法違反や、政治資金規正法違反の疑いが濃厚です。前夜祭を会費5000円という破格で請け負ったホテルニューオータニに、安倍政権でどれだけ発注してきたかを調べれば、癒着や政治汚職の問題に発展するかもしれない。そういう意味では、テーマごとに細分化して調査を進める野党の方針は有効だと思います」  モリカケ問題では官僚の“忖度”が焦点になったが、安倍は「指示していない」「忖度は知りようがない」と言い張り、逃げ切った。  桜を見る会に各社の幹部が参加していたと安倍に牽制され、疑惑追及の最中に首相に呼ばれてメシを食っているようなメディア連中にも期待はできない。野党が物証を突きつけるしかないのだ。 野党の追及が成果を上げたら、メディアも無視はできません。そしてメディアの報道が世論を喚起し、国民の声が大きくなれば検察も動かざるを得なくなる。現役の首相であろうと法律違反をすればアウトで公民権停止まで持っていければ、そこでようやく三権分立が機能する社会になる。その発火点が野党の追及本部であり、国民の意識も問われているのです」(五野井郁夫氏=前出)ーー日刊ゲンダイ27より転載

橋ーー今「やるしかない  疑惑追及は、まっとうな民主主義を取り戻すための戦いでもあるのだ

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