古稀に思う

古稀に思う

　過去の中国において七十歳は「古来稀なり」から「古稀」と呼ばれるようになったという。信長が好んだという「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」は、当時の寿命がそう考えられていたと推測されるが、平均寿命は延び続け、「人生百年の計を」とまで言われるようになった。驚くしかない、と書く小生も先日、古稀を迎えるに至った。私事であるが五十になったばかりの頃、「あと十年の命です」と医者に宣告された過去がある。生活習慣病を放置していたからである。それが十年も延命しているのだからアリガタシと言えようか。

　過去を振り返る時。昔はビデオに撮っていたものが今は劣化してあてにならない。活字は手紙葉書で戴いたものは全て保存している、段ボールで五箱くらいか。日記は独身時代にはつけていたが、結婚と同時にやめてしまった。今手元に十冊ほど残っている、好きだった娘との交換日記一冊も含めて〈笑い〉。他にノート三十冊ほどがある。かつて教師時代の長期研修時代にフィールドワークや各地の図書館や民俗資料館などを訪ねて記録したものである。貴重な資料として「宝物」だったのだが、現在では「郷土史」を除いて、ネットでなんでも検索できるようになった。コピーの無かった時代は、植物などは色鉛筆を使い、苦労して手書きで写していったものだが。

元に戻る。二十代前半の日記に「偶成」を写している。朱子の有名な句である。「少年老い易く学成り難し一寸の光陰軽んずべからず 未だ覚めず池塘春草（ちとうしゅんそう）の夢　　階前の梧葉（ごよう）已（すで）に秋声」。折に触れて生徒にこの句を教えて来た青年教師だった自分も、いつしか秋の枯葉も同様になっている。「まさに歳月人を待たず」である。丑年生まれながら単に馬齢を重ねて来ただけでは無かったかと忸怩〈じくじ〉たるものがある。

「反省だけなら猿にもできる」と批判は免れないかもしれない。「責任は自分にある」と言いつつ、「責任をとる」事を一切しないソーリと同様である。決意を表明すべきと考える。以下である。

先生という名の職を終えた今、独居老人にはならず、平和にして夢を語れる社会を維持するためにできうる限りの社会参加を続けていきたい。それが後生〈後から生まれて来た人々〉への責務と考える。具体的には、〈反戦・護憲、反原発〉運動にこれからも関わり続けていく覚悟である。そして社会から、虚偽、反倫理、不正義を少なくしていきたい。その為に、マスコミチェックとして月一度の新聞世論投稿と週一度の報道機関への電話を自己使命と課してこれからも続けていきたいと考えている。社会運動団体への細やかなカンパとヒプノセラピー〈催眠療法〉も内なるボランティアとして続けるつもりである。自家産の黒ニンニク，黒らっきょうも好評なのでいずれは〈鹿屋の宮沢賢治〉と呼ばれたいな。年二編の社会派創作小説も書き続けるつもりである。

橋ーー本日の誕生日に書きました。全くの私事ながら、南九州新聞コラムに来年早々にも投稿予定です( ´艸｀)