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「ランボー論」〈井元著〉感想


著者井元元義氏よりご恵送戴いたフォトの薯を読み、以下のお礼兼感想を送りました

 謹啓。昨日、祝日「文化の日」を迎えて、惨憺たる気持ちになったのは「日本の文化」はさて順調に進展しているのだろうか、という事でした。現政権による「虚飾と忖度」の流行は積み上げて来た良き日本の伝統文化を破壊しているのではないかと思ったからでしょうか。それとも井元様のご労作「太陽を灼いた青年」を一読し、絢爛豪華とも思えるフランス文化の灼熱に中てられたからでしょうか。

 ご労作を謹呈戴きましたことにまず心より感謝申しあげます。装丁からして美しい御本を四日に亘って読ませていただきました。カラー写真や手書きの地図もふんだんかつご丁寧に添付され、わたし如き、詩人に不案内の読者にとってもよき入門書になっていると感謝申しあげるところが、どっこい、大兄ご研究の集大成にもなっているのだなと気付かされた次第です。

ページを追って思い付きの感想?をのべさせてもらいます。〈数字は頁です〉

〇7。ヴェルレーヌ。「巷に雨の」「秋の日のヴィオロン」。小生の馴染みの詩はこれだけでした

〇9。ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」。旧い映画をみました

〇14。パンテオン神殿。サルコジのカミュ埋葬には「ホー」と。

〇22。島崎藤村「破戒」――大兄が日本ペン会員と知り、少し蛇足を。日本ペンの初代会長であった島崎の「破戒」は被差別部落問題を提起した書として知られていますが。部落問題で 著名な事件〈冤罪と小生は信じていますが〉に「狭山事件」がありますね。

 事件の発端で、被害者宅に届けられた「脅迫状」が「ソネット形式」に近似していることから、犯人はフランス詩に造詣深い者だ、とする識者もいるようでした

〇23{ジャンバルジャンとコゼット}の挿話はいいですね。情景が浮かんでくるようです。「レ・ミゼラブル」は少年文学として図書館から借りて読みました。「少年もの」でしたから、簡略した内容だったと思いますが、何巻かあった、そして面白かった記憶はあります

〇25{ランボーとパリコミューン}――少しだけ触れますが、小生ももっとも魅かれたところでした。理由はマルクスの著『ルイ・ボナ パルトのブリュメールー八日』、『フランスにおける階級闘争』、『フランスの内乱』という 「フランス三部作」を半世紀前の学生時代に学習会でテキストとして学んだからです【今はすっかり内容の記憶はありませんがーー笑い】何らかの夢を抱いて青年たちが革命に飛び込んだのは理解できます、政治意識は高くなくても。政府弾圧でコミューン破壊前にランボーがこの「解放区」を去ったその内面をもっと知りたくなりましたね。ヴェルレーヌの姿勢にも共感を覚えました。71の追記も興味深かったです

〇55{エスペランサ。希望」--小生の知っている五指のフランス語の一つです

〇96「フランス語で俳句」受賞。すごいですね!

〇109。ランボーが英国で共産党宣言? 

〇122 ピストル発見!

〇131ヴィタリー「兄さんは何も手伝わない。それでも大事なしごとがある」

〇156ランボーと賢治の重ね。〈小生も賢治ファンで、30年ほど昔、書いた戯曲がラ

ラジオドラマとして放送されたことがあります。銀河鉄道でした〉

〇216「ヴォンク駅にたちて」。詩と廃線写真のくみ合わせが絶妙ですね、

〇226Aジッドのランボー追悼文ーーーいいですね!

「書かざる詩人ーー真の詩人」。ここに大兄のランボーへの深い理解と愛情を感じました。

まとまった感想というより、浮かんだイメージの走り書き風になりました。

お詫びと感謝をこめ、大兄の一層のご健筆をお祈り申し上げお礼の言葉とさせて戴きます。                  敬具

井元元義様

                            橋 てつと

  2019年11月4日

追伸。ランボーの約者では中原中也が著名なのですね。

小生は中也の「頑是ない約束」をヒントに短編創作を書いたことを思い出しました。

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