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アベ内閣検証

第二次安倍政権が発足して間もなく七年目となる機会に政権を点検したい。驚くべきは台風15号が千葉県他に大災害をもたらしている最中に、災害対策本部を設置するどころか内閣改造を先にした点である。災害対策を優先させていたら被害拡大は少なかったろうと指摘する専門家は多い。死者二百人をだした昨年の西日本豪雨の際も総理は赤坂での宴会中で初動対策に遅れを取ったのに、教訓としていない。憲法に入れたいと総理が願う「緊急事態条項」以前に、災害予防の心構えを問いたい。

今内閣人事である。森友で国税を不当に値引いた責任者の麻生財務相が責任を取る事なく続投とはこれ如何に。加計学園設置を裏で進めた萩生田氏が教育科学相というのにも驚いた。氏は以前、加計系列の大学に勤務し総理と加計氏とバーベキューを楽しむ画像をブログで公開しておきながら問題が発覚するや「総理と加計氏の仲は知らなかった」と平然と嘘を放った人物なのである。文科相とは恐れ入る。全国紙で識者がバーベキュー内閣と評したのも頷ける。そして河野防衛相である。外相時に韓国大使を呼びつけ、無礼呼ばわりするなどの高圧的態度を取っていたがGソミアなど日韓防衛協力態勢を構築できるだろうか。

政策検証は福島原発処理からである。五万二千人が避難中で、汚染土と汚染水処理の目途は立っていない。福島県の小児甲状腺ガンは二百人を超えている(昨年十二月)。「スピード感を持って処理する」と総理はよく言うが、台風被災の千葉県をよそにラグビー観戦の挙句、国庫からの千葉援助が僅か十三億である。ここから福島復興が見えるか。

次にアベノミクスである。政権再奪取の七年前「国家戦略特区の創設により一人当たりの国民総所得を十年後に百五十万円以上増やす」と断言した結果は如何? 加計学園など友達優遇が目立っただけでは無かったか。OEDD発表によれば昨年度日本人の賃金は過去二十一年間で八%減り、先進国で唯一のマイナスだったとの事。現在、貯蓄無し世帯は三十一%に達し、年収三百万円以下の人が四十%と、国民の十五%が相対的貧困に陥っている一方、大企業の内部留保は四百六十兆円と七年連続過去最高を更新している状態で、内部留保を吐き出させれば所得税引き上げはせずに済むだろうが、「財政再建」も先送りのままである。

介護保険と医療費の負担増が検討される傍らで、基礎年金が引き下げられていくようでは高齢者も安心できまい。「一億総活躍社会」とは名ばかりではないか。

最後に外交。六年で六十兆円近い血税を外国にバラまいてきた成果は見えず、近隣諸国、韓中露北との外交は厳しい状態にある。「安倍政権で必ず解決する」と公約した拉致被害者救済はアメリカ頼みのみで先は見えない。トランプ訪日にはF35機百五機購入約束をした。総計一兆二千億である。旧型のF15、九十九機は退役となるのだが、今年三月、米国防省は来年から五年でF15を八十機購入すると発表した。日本が退役を決めた機である。両機比較をする紙幅はない。気になるのは、使える退役機をもしも他国に輸出などしたら安全保障環境の悪化に繋がらないか、という懸念を指摘するに留めたい。😊

    --南九州新聞26日掲載

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