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「安定」アベ内閣を瓦解へ!


11日に行われる内閣改造。これまで「危機突破内閣」「仕事人内閣」「全員野球内閣」などと、空疎なネーミングをつけてきた安倍政権。今回は「安定と挑戦」の布陣にするのだという。  しかし、「安定」と「挑戦」とは、ヘソが茶を沸かすというものだ。すでに政権発足から6年半。大企業の内部留保だけが膨れ上がり、肝心の実質賃金は上がらず、個人消費はどんどんヘタっているのに、なにが「安定」なのか。まさか、庶民が疲弊している、この状態のまま「安定」させるつもりなのか。  もはや、アベノミクスが失敗に終わったことは、誰の目にも明らかだ。OECDの統計によると、2018年の日本人の賃金は、過去21年間で8%も減り、先進国の中で唯一、マイナスだったという。アメリカは81%も増え、イギリスも92%増だった。フランスもドイツも韓国も伸びている。どこもかしこも庶民の賃金は上がっているのに、日本だけが8%もダウンしているのは、どう考えても経済政策の失敗だろう。

 とくに、6年半もつづけた愚策“アベノミクス”の失敗が決定的だった。大企業が「円安」による見せかけ上の利益を貯め込む一方、非正規雇用を増やして人件費を削ってきたのだから話にならない。  この期に及んでも安倍政権は、「景気は緩やかに回復している」などとテキトーなことを口にしているが、足元の景気も悪化しはじめている。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。 「財務省の“法人企業統計”によると、今年4~6月に企業が払った人件費は44・4兆円でした。これは前年同期に比べて0・7%の減少です。推移を見ると、昨年7~9月は4・2%のプラス、以降、10~12月は3・1%増、今年1~3月が1・6%増と減速をつづけ、ついに4~6月期にマイナスに落ち込んだ。景気が後退しているのは明らかです」

個人を犠牲にして大企業を儲けさせてきた

アベノミクスが失敗に終わった原因もハッキリしている。 そもそも、アベノミクスは、3本の「矢」を放つ予定だったはずである。まず、第1の矢である「異次元の金融緩和」と、第2の矢である「財政出動」をカンフル剤として放ち、満を持して3本目の矢である「成長戦略」をぶっ放すことで日本経済を高度成長させる計画だった。  ところが、6年半経っても、肝心要の第3の矢が1本も飛ばないのだから、ホンモノの好景気になるはずがない。行き詰まった安倍政権は「カジノ」を「成長戦略」のひとつにしているのだから、どうしようもない。いったい、どこに「バクチ」を成長戦略に掲げる国があるのか。

 結局、安倍政権がやったことは「異次元緩和」によってマネーをジャブジャブにすることで“株高バブル”を演出し、“円安誘導”して輸出大企業をボロ儲けさせただけだ。トリクルダウンは、起きる気配もない。

「『世界で最もビジネスしやすい国を目指す』と安倍首相が訴えていた通り、アベノミクスの本質は、いかに大企業にとっていい環境をつくるかということです。個人を犠牲にして、大企業の利益を拡大させてきたのがアベノミクスです。たとえば“円安誘導”は、輸出企業の利益を底上げしますが、庶民は輸入物価が高騰して生活が苦しくなる。 異次元緩和による低金利にしても、企業は金利負担が減り、低利でお金を借りられるメリットがあるが、個人は預貯金の利子が減ってしまう。なにより露骨なのは“労働政策”です。大企業が、安い労働力を酷使できるようにしてきた。賃金の安い非正規雇用の比率は、いまや37%に達している。そうした6年半のアベノミクスの累積が、460兆円という大企業の内部留保です」(斎藤満氏=前出)  日本のGDPの60%は、個人消費である。個人のフトコロが温まらないのだから、景気が良くなるはずがない。

6年半やっても成果が上がらない「アベノミクス」を、これ以上つづけても、結果は同じだ。庶民の暮らしは絶対に良くならない。むしろ疲弊していくだけである。  安倍政権は「安定」と「挑戦」などとほざいているが、いま必要なのは、アベノミクスの「破壊」であり、庶民生活を犠牲にしてきた戦犯の「粛清」だろう。このまま愚策をつづけられたら、日本経済も国民生活も大変なことになる。  アベノミクス失敗の“A級戦犯”は、経産官僚だ。「経産省内閣」と揶揄されるほど、安倍政権では、内政も外交も経産官僚が仕切っている。各省庁の事務次官さえアゴで使い、霞が関を支配している“官邸官僚”も、経産省出身者で占められている。「むかし陸軍、いま経産省」である。

 最悪なのは、経産省がブチ上げたプランは、ことごとく失敗していることだ。経産省が「成長戦略」のひとつとして進めてきた「原発輸出」は、まったく日の目を見ていない。トルコ、ベトナム、イギリス、リトアニア、アメリカ……と売り込んだが、すべて頓挫している。官民ファンド「産業革新投資機構」は、1億円の報酬をめぐって醜い内紛まで起こすありさまだ。

さらに、人工知能、自動走行、水素社会……ともっともらしく「成長戦略」を打ち出しているが、原発輸出と同様、いずれも成果を上げていない。  シナリオライターが無能なのだから、安倍政権から「成長戦略」が出てくるわけがない。  政治評論家の森田実氏が言う。

「かつて旧通産省の官僚は、国民生活を良くしたい、という気持ちが強かった。ところが、経産官僚は国民に背を向けている。向き合っているのは、官邸と大企業とアメリカだけです。その象徴が、庁舎内の全執務室に鍵をかけたことです。本来、役所は国民にオープンであるべきです。以前は、気軽に立ち寄れた。民間人が顔を出すことで情報も知恵も得られます。なのに、外部の声をシャットアウトしている。これでは成長戦略だって出てきませんよ」 国民の15%が相対的貧窮の異常事態

安倍首相も、日銀の黒田総裁も、経産官僚も、アベノミクスの失敗を認めようとせず、責任を取ろうともしないが、絶対に見過ごしてはダメだ。 「トリクルダウンだ」「まだ道半ばだ」などと、この6年半、さんざん庶民を犠牲にしてきたのに、最近はアベノミクスという単語さえ口にしなくなっているのだから、ふざけるにも程がある。 アベノミクスの失敗によって、いまや貯蓄ゼロ世帯は31%に達し、年収300万円以下の人が40%もいる。国民の15%が相対的貧困に陥っている状況である。大企業の内部留保が460兆円と7年連続過去最高を更新しているのに、庶民だけが苦しむのは、誰が考えたっておかしい。

 よくも安倍政権は、「安定」と「挑戦」などとシレッと口にできるものだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。 「参院選でも安倍首相は、アベノミクスという単語をほとんど口にしませんでした。アベノミクスの成果に有権者の注目が集まり、選挙の争点になったらマズイと考えたのでしょう。“韓国叩き”と“改憲”に血道を上げているのも、アベノミクスから国民の目をそらしたい、という理由もあるはずです。しばらくは、内閣改造に注目が集まると計算もしているはず。でも、どんなに目をそらせても、生活が良くなるわけではない。国民も目くらましに乗らないようにすべきです」  これ以上、亡国政策をつづけさせてはいけない。庶民生活は大変なことになる

       -- 日刊ゲンダイ10日より転載

橋ーー論に全面賛成! 国民が目覚めなくてはとおもうのです!

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