ヒプノセラピー・後 退行催眠
以下の人物、ブライアン・ワイズ〈米国精神科医〉、飯田史彦〈元福島大教授〉、矢作直樹〈元東大医学部教授〉、奥山輝美〈総合内科医師〉、池川明〈産婦人科医師〉。彼らの著作を既読の方は「精神世界〈スピリチュアル〉」に足を踏み入れていると言えますね。彼らこそ「輪廻転生論〈リインカーネーション〉」の主張者なのです。その論を大雑把にまとめると「人生で乗り越えられない試練はない、試練は成長する為に自らが用意したものである、現生に繋がる過去生があり、前生そして來生へと転生していく」と言うものです。その考えに立ち、「前世療法」とは「現在の壁に最も関係ある過去世を催眠で想起して貰い、壁を乗り越えるヒントを貰う」というものなのです。文中の「前世」は「前生」のどちらを施用してもかまいません、過去はいくつもの転生を繰り返してきている、の立場に立ちます。
突拍子もない話みたいで驚かれたかもしれませんね。解りやすく説明しましょう。「前世療法」なる語が広まったのは半世紀程前で、先のワイズ氏の同名著書によってです。人は死後には神の元に行くので転生はしないとするキリスト教国の米国で同著が転生論の火付け役となったのですから面白いでしょう。では「前世発見」の経緯を。
成人のコンプレックス症が幼児期体験に原因があると考えたフロイトは、リラックスした状態での自由連想によって、封印していた幼児期体験を顕在化しようとしました。今風に言えば、「インナーチャイルド」の発見といえます。類似するものに「内観法」が知られています。ところが。「原因となる過去を思い出してみましょう」と誘導したところ、被験者は「幼児期を通り越した前世」を語り始めた。これが「前世」の発見だったと言われています。「それって単に想像じゃないの」と否定される向きには「想像してください、過去世が浮かびますか」とやって貰います、まず浮かびません。
もう一つの事例。目を閉じた状態で広げた掌に何かを置きます。(何だこれ? 何の為?)と、成人ならそのままの状態で勘繰るでしょう。幼児はすぐに握りしめる。パーマー反射と言います、催眠状態で幼児期に退行していたら、自然にパーマー反射が起こるのです。無意識化に幼児期に退行出来たら、「それ以前、つまり前世」として思い出す出来事は果たして想像でしょうか。その場に存在しているかのように語るのですから。そして、「辛い現生があるのは過去の報いによる」との「因果応報の事例」が出て来た事は一度も無く、過去生は現在の課題を解決するヒントをくれるのです。最近の症例では、「足るを知れ」や「信念に忠実に生きよ」とかありました。
私の催眠技法「実存ヒプノ〈催眠)」は、ヒントを担った将来と担わなかった将来の両方を見て、今後の決断を自身で選択するという「未来生療法」です。ご興味ある方は、HP「実存ヒプノ」へご訪問をーー南九州新聞コラム8/2日。