三秘術論
催眠術、腹話術、奇術(手品)
タイトルの三秘術を私はモノにしてます、と言っても大した事ではありません。そして仕事のヒプノセラピー〈催眠療法〉については今回触れませんが、「催眠術」の語は現在では用いません。「術」とつけば忍術も同様に秘法、特定の能力ある者だけが行える技法となりますが、催眠は学べば誰でもができる心理技法だからです。
今回は「腹話術」と「奇術(手品)」の紹介です。末尾に「アッと驚く手品」を紹介しますので最後まで読まれたらお得ですぞ。
先ず腹話術から。ブームを起こした、いっこく堂さん、彼の話法は口を半開きにした状態で、通常音の高さで行うものでした。実は腹話術には鉄則があるのです。それは、「パパとママはくっつくもの」というものです。当たり前じゃないかって、まあまあ。パ行の言葉例えば「パン」、マ行の言葉「マンガ」などは、一度唇を閉じて開く事で発せられる語になるのです。唇の動きが見えやすいとなると、腹話術には不適な用語。それがパ行、マ行になるのです。よってパ行はタ行に言い換えます。「パン」は「タン」に。同じく「マ行」は「ナ行」に入れ替えて「マンガ」は「ナンガ」と発語して、前後から意味はくみ取って貰うのが話法なのです。高音にするのは異次元を演出する、それだけです。
次は、昔、奇術と言われていたマジックです。マジックにはタブー三原則というものがあります。故井上ひさし氏の著「月なきみそらの天坊一座」によれば以下です①同じ芸を続けて二度やらない②種明かしをしない ③今からやる事を前もって言わない、が三原則です。例えば「瞬間移動をします」と前もって言っていたマリック氏の芸風はマジックとは異なるので、彼は「超魔術」と言っていた訳です。マジックの種は心理の裏を掻(か)いたものや、目の錯覚を突いたものなどの工夫があります。トリックを利用したものはスロー再生で見れば見抜く事ができるのですが、その機能を持つ機器が最近は無くなっているのが残念です。ここまで読んで貰った読者の皆様方に感謝の意を込めて、予言マジックを一つお教えしますね。ゲストさんに出てきてもらい、口を閉じて貰います。「私はこれからゲストさんが言う第一声を予言します」と言って、紙に文字見えないよう書き、伏せます。それからゲストさんに手を出して貰い、思い切りツネルのです。アイタっ、と悲鳴を挙げたら手を離し、おもむろに紙を開いてみせます。そこには「痛い」の文字が。いかがかな。
最後に。マジックは騙(だま)してナンボの愛嬌ですが、騙して笑えないのが政治の世界です。公的資料の隠蔽や改ざんなどは主権者である国民をだます、愚弄(ぐろう)、馬鹿にしているとしか思えません。かのヒトラーは言ってます、「国民に嘘をつくなら大きな嘘だ、見破られないから」と。政治の大きなフェイク(嘘)を見抜ける賢い国民になるべし、と自戒を込めて。
橋ーー南九州新聞20日掲載