「言論の自由」論
言論の自由について考えた(一一九八字)
てつと
北方領土訪問団に同行した維新の会丸山穂高衆院議員に辞職勧告案が出された。議員の問題発言は「戦争でしか北方領土は取り戻せない」というもの。これは「戦争放棄」を定めた憲法を明らかに否定する内容で、公務員の憲法尊重擁護義務にも違反する公務中の言動であるが故に、決議がなされて当然だと思う。丸山議員は「辞職勧告は言論の自由を損なうもの」として争う姿勢を示しているが、氏は共謀罪法審議の際、「討論を打ち切って採決するように」と、他党の審議要求の言論を封じて採決させた過去がある。彼の「言論の自由を尊重せよ」という真意とは何かと疑いたくもなる。
だが、戦争を匂わせる同様の発言は安倍総理にもある。総理は著「美しい国へ」の中で明言している。「尖閣海域で求められているのは、(外交)交渉ではなく(略)、物理的な力です」と。外交を否定する物理的力とは何か。これも九条の「武力の行使、武力による威嚇」に抵触しないかと考えるが、いかがだろうか。
さて、終戦記念日には、本紙に「九条の会おおすみ」〈二千五年発足〉は賛同者氏名入りで「世界をつなげ憲法九条」という「護憲広告」を出しており、小生も一口五百円のカンパをさせて貰っている。掲載料を集めるのが大変と聞いたが、今年も掲載される事を望んでいる。他紙の話で恐縮だが、憲法記念日には南日本新聞に「かごしま九条の会」が中心となって護憲広告を出し続けている。毎年、こちらも掲載費が資金難と聞いていたが、今年も個人二六六九人の賛同で掲載出来た事は幸いだった。だが、同会の代表幹事から春に他界した作家相星雅子氏の名が消えていたのは寂しかった。氏は「華のときは悲しみのとき」で「特攻おばさん」鳥浜トメさんを描いたが、相星氏の根底思想は、若者達を二度と還れぬ戦場においやった残酷な歴史を繰り返してはならない、に尽きると考えている。平和は剣でなくペンの力で創る、が、日本ペンクラブ(九条の会の発起人で作家の故井上ひさし氏は元会長)の精神なのであるが、反戦・護憲の精神で行動していた相星先輩会員の意思を引き継ごうと思う。
最後に気になっている事が一つ。憲法改正国民投票に関する民間放送のCM規制問題である。「表現の自由」を盾に、公平で正当な規制がなされないとすれば、動画「九条球場」〈一人の打者に対して大量の守備陣がグラウンドを埋め尽くす、不公平な試合ルール内容〉に見られるように、資金力のある政党のCMが大量、一方的に放送され、放送法第一条の「放送は健全な民主主義に資すること」も、損ないかねない事態とならないかと憂う。健全な民主主義というのは少数者の意見を大事にし、政府の横暴をチェックできるシステムが機能する事と考えるからである。
「九条の会おおすみ」の護憲広告への問い合わせは代表松下徳二(0994449687)か、てつと(同412384)へご連絡下さい。
橋ーー同コラムは南九州新聞
本日23日掲載。フォトは日本アルプス「穂高」岳です