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アベの皇室利用のひどさ


 天皇陛下が退位の意向を表明して以降、安倍政権による皇室の政治利用が目に余るのではないか──。こう苦言を呈するのはジャーナリストの田原総一朗氏と元経産官僚の古賀茂明氏だ。  4月10日に東京・隼町の国立劇場で開かれた天皇陛下の即位30年を祝う「奉祝感謝の集い」で、安倍晋三首相は祝辞を読んだ。政府主催ではなく、超党派の国会議員連盟と民間の奉祝委員会の共催。天皇、皇后両陛下が臨席しないなかで盛大に行われた式典について、「完全な政治利用で統一地方選、参院選に向けた景気づけ」と古賀氏は断罪する。  田原氏も同様に指摘する。 「天皇陛下を利用しての人気取りは当然、安倍首相は考えている。元号発表にしてもそうです」 一方、天皇陛下と安倍首相の姿勢は対極にあると、田原氏も古賀氏も指摘する。昨年の誕生日の会見で天皇陛下は「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と発言した。安倍首相について古賀氏は「戦争になってでも日本を守るという姿勢に見えます。安全保障や外交を見ても『力』に頼る、憧れていると感じます」と言う  生前退位をめぐる法改正でも考えは違った。田原氏は「陛下は生前退位に関して皇室典範の改正を望んでいた。ところが、安倍政権は一代限りの特例法にした」と話す。

 古賀氏はこう語る。 「天皇陛下のこれまでのご発言が、安倍首相の姿勢へのアンチテーゼに感じられることは多々ありました」  田原氏は安倍首相の姿勢について「応援してくれる保守派、右派に対する配慮だ」と分析した上で、こう話す。「『沖縄やサイパンといったかつての激戦地に行くべきではない。天皇は祈ってさえいればいい』とする保守勢力は少なからずいる。その意味では陛下は懸命にご自身の姿勢を貫かれたと思います」  元号が令和に変わり、安倍政権の皇室利用は終焉するとの見方もある。“悲願”の消費増税への発言で自民党内では混乱が起き、21日投開票の大阪、沖縄の衆院補選では苦戦を強いられた。  「早期の令和解散は十分にありえます。補選での苦戦を見ても増税に向けた旗色は悪い。5月の景気動向指数や6月の日銀短観による見通し次第で決断するでしょう。私は良くない指数が出ると見ている。3度目の消費増税をしたいのであれば、国民の信を問うことになるでしょう」(田原氏)  これまでの政治姿勢が問われることになりそうだ。 (構成/本誌・秦正ーーー週刊朝日5/3よりリテラ ※週刊朝日  2019年5月3日‐10日合併号)

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