日韓関係
悪化の一途をたどる日韓関係が、ますますこじれている。ドイツで開催中のミュンヘン安全保障会議に合わせて15日、日韓外相会談が行われたが、主張は真っ向対立。一歩も引かない文在寅政権の姿勢に、安倍自民はいよいよ強硬。経済制裁を含む対抗措置の発動を求める声が大きくなっているが、ヘタを打てば偽装アベノミクスに自らトドメを刺すことになりかねない。 徴用工問題では、韓国の裁判所による新日鉄住金の韓国内資産差し押さえ決定を受け、安倍政権は先月9日に日韓請求権協定に基づく2国間協議を要請。30日以内の回答を求め、同23日の外相会談でも河野外相が康京和外相に受け入れを求めたが、期限の今月8日まで返答ナシ。訴訟の原告側が差し押さえた新日鉄住金の資産売却手続きを始めると表明したため、河野外相は「事態がエスカレートしないよう、早く結論を出してほしい」と迫ったが、康は「綿密に検討する」と従来の見解を繰り返すだけだった。
慰安婦問題で文喜相国会議長が「解決には天皇の謝罪が望ましい」と発言したことについても、安倍政権は5回抗議し、謝罪と撤回を求めてきたがナシのつぶて。むしろ、安倍首相が国会で「甚だしく不適切で、謝罪と撤回を求めていく」と語気を強めたことが韓国世論の反日感情を増幅。元徴用工訴訟の対応策を担う李洛淵首相も「最近、日本の一部の政治家や元外交官らが嫌韓の流れに迎合しようと、信頼から外れた言動を続けている」と反発していた。 ■韓国は貿易黒字の“お得意様” もっとも嫌韓ムキ出しの安倍首相にとって、悪い展開ではないようだ。 「新日鉄の資産が現金化されるタイミングが対抗措置を発動する号砲になりそうです。請求権協定に沿い、第三国の委員を交えた仲裁委員会の設置に動く一方、日本企業が被る損害を理由に制裁に踏み込むシナリオです。自民党内の強硬派からは駐韓大使の召還や韓国人に対する就
労ビザの制限、さらには経済制裁を求める声が強まっている」(与党関係者)
北方領土返還を巡る対ロ交渉での腰抜けぶりとは打って変わり、異様なほどの強気一辺倒だ。しかし、毎月勤労統計のインチキ調査に端を発した統計不正で、賃金と景気を上向かせたと喧伝してきたアベノミクスが嘘八百だとバレたのに、経済バトルを仕掛けている場合なのか。経済評論家の斎藤満氏は言う。 「日本経済は相当悪くなっており、昨年秋から景気後退局面に入っていた懸念が高まっています。昨年の貿易収支は約1兆2000億円の赤字。米中貿易戦争で中国経済が低迷したあおりで輸出が急減速し、3年ぶりの赤字に転落しました。そうした厳しい状況の中、韓国は稼がせてくれる“お得意さま”。昨年の対韓貿易黒字は前年比20・5%減ではありましたが、約2兆2400億円に上っている。人気取りのために、“お得意さま”と真正面からケンカをするのは生産的ではない。日本が失うものが大き過ぎます」ーー日刊ゲンダイ2/15より転載 安倍首相の暴走で、瀕死のアベノミクスの自爆が迫っている。
橋ーーどこまでアベ外交は失態をみせてくれるのだろうか