アベの北方外交アワレ
「平和条約問題に関する協議を開始する」――。ロシアのラブロフ外相がこう宣言し、14日河野外相との間で、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉の協議がスタートした。 ラブロフ外相は冒頭から「合意を歪曲したり一方的な発言をしない」と牽制モードだったが、それ以上に驚いたのは、外相会談の前にロシア側が国営テレビで、「日本側が共同記者会見を拒否した」と暴露し、批判したことだ。日本政府は否定しているが、どちらが真実だとしても、こうした裏交渉は、外交の場では明らかにしないのが礼儀じゃないのか。 来週22日に安倍首相が訪ロしてプーチン大統領と首脳会談が行われるというのに、ロシア側の態度は硬化の一途だ。先週は、「北方領土のロシア住民に日本への帰属が変わることを理解してもらう」とした安倍発言を問題視し、日本の駐ロシア大使を呼びつけて抗議までした。そして今度は公の電波で「共同会見を拒否」と日本に赤っ恥までかかせたのである。
忠誠心を試されている 「完全に主導権を握られてしまいました。ロシアはやりたい放題です。中国や北朝鮮だけでなく、韓国とも関係が悪化している日本の足元を見ている。どこまでロシアに付いてくるのか、忠誠心を見せるのか試している。『大使を呼び出し抗議しても、反応することなく、外相も首相も訪ロしてくる。まだまだ大丈夫』というところでしょう」(筑波大教授・中村逸郎氏=ロシア政治) ここへきてロシアでは北方領土問題に関する報道が増えているという。旧ソ連時代から人気の大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は10日、日本についてこんな皮肉を記事にした。 〈プーチン大統領は安倍首相の大好物をテーブルに置いて、安倍首相が食べようとしたところ、さっと持ち去った。ただ持ち去るだけではなく、氷水をぶっかけて持ち去った〉
「記事を読んだロシア人の友人から、『プーチン大統領のやり方はあまりにひどい』と連絡をもらいました。今の安倍首相はロシア人から見ても哀れな姿だということ。過去にロシアの報道で、日本を批判する記事はありましたが、同情されることはなかった。ここまでバカにするとは、主権を持った国に対する態度ではありませんよ」(中村逸郎氏) それでも安倍首相はプーチン大統領にへりくだるのか。それで北方領土は帰ってくるのか。 日刊ゲンダイ1/14転載
橋ーー哲学も戦略も無い外交の末路とはアワレとしか言いようがない