沖縄県知事選結果・各紙社説
読売新聞「普天間の危険性除去を進めよ」
読売新聞は、冒頭から「国との対立をあおるだけでは、県政を率いる重要な役割を果たせまい」と、玉城氏に対して厳しい書きぶりだ。
辺野古移設を進める国との対立が続くことには、「県民の間にも一定の批判がある」と指摘。
辺野古への移設が「普天間の返還を実現する上で、唯一の現実的な選択肢」と安倍政権の主張に賛意を示した。
その上で、国と県の対立を解消すべく、玉城氏に対して「政府との緊密な連携」を求めた。
辺野古への移設に反対し、玉城氏を支援した野党に対しても厳しい書き方だ。「かつての民主党の鳩山政権と同じで、無責任のそしりを免れない」と批判した。
一方で、自民党・公明党が総力をあげて支援した佐喜真淳氏が敗れたことについて、「安倍政権にとって痛手」と指摘。
政府に対して、あくまで辺野古移設を念頭に「県と真摯な姿勢で協議するとともに、着実に基地の再編や縮小を進めなければならない」と求めた。
朝日新聞「沖縄知事選 辺野古ノーの民意聞け」
朝日新聞は、佐喜真氏を支援した安倍政権への批判的な筆致が目立った。
辺野古移設に反対する玉城氏の勝利を「県民の思い」と表現。安倍政権に対して「辺野古が唯一の解決策」という姿勢を改善するように求めた。
さらに、菅義偉官房長官らが佐喜真氏の応援で「県政とは直接関係のない携帯電話料金の引き下げに取り組む姿などをアピール」したことを問題視。
「政権側がとった対応は異様」「都合の悪い話から逃げ、耳に入りやすい話をちらつかせて票を得ようとする」と断じた。
その上で、「安倍政権がとってきた、従う者は手厚く遇し、異を唱える者には徹底して冷たく当たる政治によって、県民の間に深い分断が生まれてしまった」と主張。
こうした分断の修復に「全力で取り組んでもらいたい」と締めた。
毎日新聞「沖縄知事に玉城デニー氏 再び『辺野古ノー』の重さ」
毎日新聞も、朝日新聞と同じくタイトルに「辺野古ノー」の言葉を用いた。
移設反対の玉城氏を選んだ県民の選択は「極めて重い」と指摘。政府が「従来の姿勢を見直さざるを得なくなったのは明らか」として、安倍政権に批判的な論調をとった。
翁長前知事の知事就任後、安倍晋三首相と菅官房長官が「4カ月にわたって面会を拒み続けた」ことにも言及。
今回も「そんな大人げない対応を繰り返せば、国と沖縄の対立はますます深まるだけ」と、安倍政権に釘をさした。
沖縄に在日米軍の基地が集中している現状については、「日米安保のメリットは日本全土が受けているのに基地負担は沖縄に集中するという、その極端な不均衡にある」と分析。
辺野古移設をめぐる国と県の対立を解消するため、政府に対して「虚心に県との話し合いを始める必要がある」と求めた。
日本経済新聞は、沖縄県知事選に関する社説なし
日本経済新聞は1面で選挙結果を伝えたが、10月1日付の社説は「保育支える人材を質と量の両面で厚く」「IT企業に変質強める米金融」の2つ。他の主要紙とは異なり、社説で沖縄県知事選には一切触れなかった。
産経新聞「沖縄知事に玉城氏 国と県の関係正常化図れ」
産経新聞は、辺野古移設をめぐり国と県の対立の原因はあくまで「移設を妨げる県の従来方針」にあると主張。翁長前知事の路線を継承し、辺野古移設に反対する玉城氏を牽制した。
辺野古移設については「日米両政府が交わした重い約束事」「抑止力維持の観点からも見直せない」とし、玉城氏に「基地負担の軽減を進めていく現実的な立場」をとるよう求めた。ここまでは、読売新聞と同様の論調だ。
ただ、産経新聞は今回の県知事選の意味について、踏み込んだ表現をしている。
知事選について「基地移設の是非を決める役割があると考えること自体が誤っている」と断じ、「中国が狙う尖閣諸島は沖縄の島である」と、中国の脅威に言及する書き方をした。
「米軍基地を国内のどこに置くかという判断は、国の専権事項」「憲法は地方自治体の長に、安保政策や外交上の約束を覆す権限を与えていない」と強調。
これを「民主主義の基本」として、玉城氏には「防衛の最前線である沖縄の知事である自覚をもってほしい」と締めくくった。
橋ーー自身のコメントは少し後から表記したいと考えます。スタンスは朝日、毎日と同じです