佐賀へオスプレイ
山口祥義知事は24日、臨時会見を開き、佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画を受け入れる考えを表明した。小野寺五典防衛相と県庁で会談し、防衛省が県に着陸料として20年間で計100億円を支払うことなどを盛り込んだ文書に合意した。2014年7月の配備要請から約4年、知事の政治判断で大きな節目を迎えた。
山口知事は会見で国防に協力する考えを改めて示し、「漁業者の信頼を構築するための補償の枠組み、100億円の基金ということで、少しでも一定の形というものができた」と受け入れの判断理由を述べた。
24日午前、小野寺氏が来県し、知事と会談した。民間空港の使用や発展に影響を及ぼさないことを前提に、国と県が交渉してきた漁業振興策や補償の枠組みについて合意した。
具体的には、自衛隊が佐賀空港を使用する応分の負担として、防衛省が着陸料を計100億円(年5億円を20年間)支払い、県はこれを基に漁業振興のための基金を設立する。自衛隊使用に関する環境保全や補償を協議するため、防衛省や県、県有明海漁協などが参加する協議会を設置する。
オスプレイの安全性に関する情報共有のルール化に関しては、事故時のホットライン設置や定期的な連絡会の開催などを盛り込んだ。具体的内容が固まったものから順次実施していく。
県有明海漁協大浦支所(藤津郡太良町)の漁業者が不十分と批判していたコノシロ(コハダ)漁への影響調査については、早期に追加調査を実施する。
県と県有明海漁協は、佐賀空港の自衛隊使用を否定した公害防止協定を結んでおり、計画の実現には協定の見直しなどが必要になる。
配備計画では、佐賀空港にオスプレイ17機と目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)に配備されているヘリコプター約50機を移駐する。
【防衛省と佐賀県の合意事項】
(1)環境保全と補償に関する協議会の設置
・防衛省、佐賀県、県有明海漁協などの関係機関が参加する
(2)防衛省の着陸料100億円の支払いと県の基金の創設
・防衛省が県に佐賀空港の着陸料計100億円(年5億円を20年間)を支払う
・佐賀県は着陸料収入をもとに「漁業振興基金(仮称)」を創設。環境への影響や事故が発生した場合の「補償基金(仮称)」も
・100億円の支払い終了後は改めて防衛省と県で協議
(3)オスプレイの安全性に関する情報共有のルール化
・防衛省と県がオスプレイの安全性に関して双方向で連絡を密にするルールを構築
・佐賀空港を使用する自衛隊機の事故など重大事案でのホットラインの設置
・自衛隊機の安全性に関する定期的な連絡会の開催
・米軍オスプレイの事故などの速やかな情報共有
・連絡窓口の設置
佐賀新聞8/24より転載