昭惠と「KAMIスタイル」
12日に山口県下関市の講演で、秋に開かれる予定の臨時国会で憲法改正案の提出を目指すと明言した安倍首相。国の根幹にかかわる改憲を総裁選に利用するとは浅ましいにも程があるが、じつは地元で安倍首相はもうひとつ、とんでもない行動に出ていた。
それは、11日におこなわれた自民党山口県連の会合でのこと。この会合は安倍首相の総裁選3選を支持する「囲む会」で、自民党籍の村岡嗣政・山口県知事をはじめ、国会議員や地方議員ら約300人が集合。そこで安倍首相は、同伴した昭恵夫人を傍らに立たせ、こう述べたというのだ。
「この1年数カ月の間に、行政の信頼を揺るがすさまざまな出来事があった。決裁文書の改ざんはけして、あってはならない。行政の長として責任を痛感している」
いやいや、その「決裁文書の改ざん」を起こした原因こそ、昭恵氏にあるのではないか。しかも、この会合の模様について報じた日刊スポーツによると、安倍首相がこう語っているあいだ、昭恵夫人は〈神妙な表情で首相の話を聞いていた〉のだという。
言っておくが、昭恵氏は森友問題が発覚してこの約1年半のあいだ、公の場で国民に向かってきちんとした説明を一度たりともおこなっていない。それどころか、近畿財務局の職員が自殺したことが報じられた今年2月9日の夜、昭恵夫人は銀座で開かれたパーティに参加。このパーティには元サッカー日本代表の中田英寿や女優の真矢ミキ、俳優の別所哲也らも参加しており、昭恵夫人はタレントの神田うのと仲良くツーショット写真を撮影するなど、無神経さを露わにした。
そして今回、安倍首相は3選支持のための集会では、昭恵氏と並んで立ち、改ざん問題について語った──。つまり、多くの国民が昭恵氏の国会招致を求めていたにもかかわらず拒否しつづけたのに、安倍首相は支持者に対しては昭恵氏とともに挨拶に出向くのだ。
まさしく日本一の「恥知らず夫婦」としか言いようがないが、昭恵氏は“禊ぎ”が済んでいないどころか、疑惑のデパート状態だ。だいたい、昭恵氏をめぐっては、つい最近も「週刊文春」(文藝春秋)と「FRIDAY」(講談社)が立てつづけに怪しい“お友達”の広告塔になっている問題を取り上げたばかりだ。
その問題とは、昭恵氏が発起人を務める「世界こどもサミット」というイベントで、同じく発起人を務める菅沼奏香氏という女性にかんするものだ。
昭恵氏と菅沼氏はとても親しい間柄にあり、菅沼氏は2015年にはFacebookで昭恵氏のことを〈もう人間の枠など超えて、神様の存在に近い 今迄の皇室の誰よりも数十倍神々しく、その行動には宇宙愛としか言えない!〉(原文ママ)と投稿していたほどで、昭恵氏もまた菅沼氏との写真を投稿している。
そしてこのふたりがかかわる「世界こどもサミット」は、字面だけでは世界の諸問題を子どもたちが話し合う場のような気がするが、HPにはこう書かれている。
〈こども達の中には、既に自分の生きる道や、行動指針、生まれてきた意味などが、大人から教わらなくても理解している子がいます。そんな天性の才能に溢れたこども達が集合して、彼らの才能を認めて伸ばす、可能性を最大限に発揮できる様に、子供達の想い、価値観、考え方、やりたいこと、夢、希望、創りたい未来の社会など、自分の思ったままを自由に発表して頂きます〉
2時間で300万円」の講義をするオカルト団体とイベントを首相公邸で
しかも、じつはこの菅沼氏、同サミットの事務局と兼ねた伊勢市のコミュニティ館でスタッフと共同生活を送り、〈『KAMIスタイル』という新興宗教の“教義”のようなものを教えている〉という。しかも、その受講料が〈2時間で300万円。人によっては1000万円を請求されることもある〉(「FRIDAY」7月20日号)とかなりの高額であるというのだ。
「週刊文春」によると、この「KAMIスタイル」は「縄文時代の生き方を理想とする」もの。「病気は人間の我欲が生み出した代物。宇宙の法則に則って生きていれば病気にはならない」という教えで、たとえばガンの原因は〈我が強すぎる、突っ張りすぎ〉、子宮筋腫は〈女としての生き方が間違っている〉とテキストでは説明しているらしい。
科学的根拠がない上に高額な受講料……。その上、300万円の受講料を支払ったという元信者は、「こどもサミットには、首相夫人も関わっている。魅力的で信頼できると思って、伊勢にやって来ました。(中略)私のような人間は絶好のカモでした」と語っている。つまり、菅沼氏と昭恵氏との関係が信頼する材料になっていたというのである。
しかも、菅沼氏のFBによると、今年1月5日に首相公邸で「世界こどもサミット会議」を開いたと報告。公邸で撮影された昭恵氏との写真が投稿されている。
森友問題であれだけ公私混同が指摘され、ついには「首相夫人は公人ではなく私人」というトンデモ閣議決定までおこなわれたが、その私人であるはずの昭恵氏は、お友だちを私邸ではなく公邸に呼んで、私的な会議を開いているというのである。ようするに、何の反省もないのだ。
この調子だと、第2の森友、第2の籠池泰典・前理事長のような人物がいつ出てきても、まったく不思議ではない。懲りない妻に図に乗る夫──稀代の私物化夫婦をこのまま放置して、ほんとうに国民は納得できるのだろうか。
生まれてきた意味、天性の才能……。何やら引っかかる言葉が散見されるが、「週刊文春」7月12日号によると、〈登場した十五人のこどもスピーカーのうち「胎内記憶」を持つ子が四人〉〈特異な体験を持つ日本の子どもたちの発表の場〉とレポートされている。昭恵氏の大好きなスピリチュアルの匂いがぷんぷんしてくるものなのだ。
リテラ8/14日より転載