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好戦派よ「恥を知れ」金子兜太の叫び


●「平和の俳句」欄の選評に「好戦派、恥を知れ」  黒田杏子がそう感じることができたのは、朝日賞の挨拶から3カ月ほどを経た同年4月29日。

「東京新聞」朝刊1面の「平和の俳句」欄の選評で金子が、「好戦派、恥を知れ」  と書いているのを読んだのだった。詠み人に向けた非難ではもちろんない。都内在住の74歳が詠んだ「老陛下平和を願い幾旅路について、

「天皇ご夫妻には頭が下がる。戦争責任を御身をもって償おうとして、南方の激戦地への訪問を繰り返しておられる」と綴った後に続けられた、腹の底からの叫び。 「普通はあり得ない選評でしょう? あれには私もビックリした。平和の俳句では他にも、兜太さんと同い年の方の、自分は体を壊して兵役に就かず、この年まで生きている、死者たちにすまないという内容の句に、なんと謙虚な、と返したり。  朝日とか読売とか、私が選者になっている日本経済新聞とかの俳句欄には、いわば俳句に慣れた人たちが投句してくるのに対して、東京新聞はそうじゃなかった。それまで俳句と縁がなかった人たちが、無我夢中で、句だけでは収めきれない思いの丈まで、ハガキに書き込んでこられる。兜太さんはそういう人たちと、紙面を通した対話を真剣に重ねていらした」

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