サイコ⑮ーーより深い心理学⓬
サイレントベビーはスマホが原因?
育児しながらスマホ(スマホ育児)
ここ数年、スマートフォンが急速に普及し、歩きスマホをはじめとする「ながらスマホ」が社会問題になっています。
そんな中、育児しながらスマホを操作するお父さんお母さんも確実に増えています。
例えば、赤ちゃんを抱っこしながらスマホ、寝かしつけながらスマホ、離乳食を食べさせながらスマホなどです。
「育児に支障は出ていないから、問題ない。」と思うかもしれません。
しかし、赤ちゃんにとっては、授乳、おむつ交換、抱っこなどの育児作業をしてもらうことよりも、お父さんお母さんが関心を持ってくれているかどうかが大切なのです。
ただ、おむつを交換するだけではなく、「いっぱい出たね~」「気持ち悪かったね~」と声をかけてあげることが、赤ちゃんを満足させるのです。
そのため、お父さんお母さんがスマホに夢中になっていると、赤ちゃんは、「自分よりもスマホの方が大切なんだ」と思ってふてくされてしまい、欲求を伝えることを止めてしまいます。
スマホ依存がひどくなると、スマホに夢中になって育児を放棄してしまうこともあります。
こうなると、先ほど説明した親子のコミュニケーションが決定的に不足し、赤ちゃんがサイレントベビーになる可能性がぐんと上がります。
重度のスマホ依存は、薬物依存やアルコール依存と同じで病気です。
もし、自力で依存から脱出できないなら、赤ちゃんがサイレントベビーになってしまう前に、近くの心療内科や精神科を受診することをお勧めします。
児童虐待とサイレントベビー
児童虐待とサイレントベビーには密接な関係があります。
ネグレクト(育児放棄)、身体的虐待、精神的虐待といった児童虐待を受けた赤ちゃんは、虐待を受けていない赤ちゃんに比べてサイレントベビーになる確率が高いことが分かっています。
発達障害とサイレントベビー
サイレントベビーの特徴である表情や反応の乏しさが、発達障害の症状と重なるため、障害ではないかと不安になる人がいます。
特に、自閉症を疑う人が多いようです。
しかし、サイレントベビーは障害ではなく、後天的なもの(生まれた後の親の関わりによるもの)で、関わり方次第で改善していきます。
サイレントベビーは関わり方次第で改善する
サイレントベビーの原因は、親の関わり不足や不適切な関わりですから、関わりを増やし、関わり方を改善することで、軌道修正は可能です。
大切なのは、赤ちゃんの言動に関心を持ち、積極的に反応することです。
赤ちゃんが体を動かせば「すごいねえ。そんなことができるようになったんだねえ」とほめてあげる、喃語を話せばうなづきながら答えてあげる、赤ちゃんが泣きだしたけど忙しくて手が離せないときは「ちょっと待ってねー、すぐ行くからね」と声をかける、そんな少しの配慮が大切です。
こうした内容、実は、普段、会社や学校における対人関係でやっていることとそう変わりません。
部下が仕事をやり遂げれば、ほめて労いますよね?
友人の話はうなづきながら聞きますよね?
忙しいときは、断りのメールを入れたり電話で謝ったりしますよね?
普段、何気なくしている周囲の人を気遣う対応、それを赤ちゃんとの関係でも実行することが、赤ちゃんがサイレントベビーになることを防ぎ、また、赤ちゃんをサイレントベビーから立ち直らせることにつながります。
お父さんお母さんが赤ちゃんに関心を持ってたくさん関わりことで、赤ちゃんは、「お父さんお母さんは僕(私)に興味を持っている」と感じ、徐々に、泣いたり笑ったりして、関わりを求めるようになっていきます。
これまで関わりが乏しかった人は、いきなり積極的に関わるのは難しいかもしれません。
最初は、赤ちゃんが泣いたら声をかける、ぐずったら抱き上げてあげるなど、赤ちゃんの行動に反応してあげることから始めて、慣れてきたら自分から構ってあげるようにすると、スムースに関わることができるのではないでしょうか。
おじいちゃんおばあちゃんなど周囲の育児経験者にも相談し、サポートしてもらいましょう。
育児は、お父さんお母さんだけでするものではないという意識を持つことがとても大切です。