top of page

サイコ⑮ーより深い心理学⓫


「サイレントベビー」論。前

サイレントベビーとは

サイレントベビーとは、泣かない、笑わないなど、感情表現が極端に少ない赤ちゃんのことです。

サイレントベビーは、一見すると、大人しくて良い子、手のかからない子に見えるかもしれません。

しかし、赤ちゃんにとって泣くことは、周囲とコミュニケーションするためのとても大切な手段で、「しっかり泣くこと」が健康な赤ちゃんである証です。

赤ちゃんが泣かないと、お父さんお母さんと赤ちゃんのコミュニケーションが十分にできないので、赤ちゃんの成長や親子関係を築く上で深刻な悪影響をもたらすことになります。

サイレントベビーのことを蛍光灯ベビー症候群と呼びこともあります。

 サイレントベビーの特徴

サイレントベビーの特徴は、泣かない、笑わないなど、感情や喜怒哀楽の表現が非常に少なく、手がかからないことです。

例えば、おなかが空いても、オムツがぬれても泣かない、お父さんお母さんを見ても笑わない、周囲の人と目を合わせない、初めての場所や人にも不安を示さない、といったことがあります。

泣かない

まったく泣かない赤ちゃんもいれば、他の赤ちゃんと比べると泣かないという赤ちゃんもいます。

おなかが空いている、おむつが濡れている、長時間放置しているなど、通常の赤ちゃんが泣く場面で泣かない場合は、サイレントベビーを疑います。

あまり笑わない

赤ちゃんは、生後2ヶ月~3ヶ月頃に生理的微笑を卒業し、自らの意思で笑う「社会的微笑」ようになります。

お父さんお母さんが抱っこしたりあやしたりしてもまったく笑わない、好きなことをしても笑わないといった場合は、サイレントベビーの可能性があります。

ただし、笑うことは、泣くことに比べて個人差が大きいものなので、笑わないからといってサイレントベビーだと決め付けるのではなく、まずは赤ちゃんの様子をじっくり観察して、他にサイレントベビーの特徴が出ていないか確認しましょう。

​ 

目を合わせない、声をかけても反応しない、

赤ちゃんは、お父さんお母さんが目を見て話しかけると、見つめ返してきますし、声をかけると振り向きます。

 お父さんお母さんと目を合わせない、声をかけても反応しない場合は、サイレントベビーの可能性があります。

ただし、目を合わせない、声をかけても反応しないという特徴は、発達上の問題が原因の場合もあるので、一度、小児科を受診させることをおすすめします。

体の動きが少ない、緩慢、指差ししない

 赤ちゃんは、日に日にできることが増えていきます。

赤ちゃん自身、自分の体に興味津々で、体を目一杯動かして遊びながら、体の動かし方を覚えていきます。

しかし、サイレントベビーの場合、周囲に働きかける意欲が低下してしまい、乳児期の大切なコミュニケーション手段である指差しをしなくなることがあります。

また、自分自身への関心も減退し、体を積極的に動かすことです

サイレントベビーの問題

大人しい、手がかからないと聞くと、良いことではないかと思うかもしれません。

しかし、赤ちゃんは、泣くことで自分の気持ちをお父さんお母さんに伝え、お父さんお母さんがそれに反応して赤ちゃんに関わることで、親子のコミュニケーションが生まれます。

そして、親子のコミュニケーションを繰り返すうちに、言葉や身振りといった泣く以外のコミュニケーションツールを身に付け、社会性を育んでいきます。

また、お父さんお母さんのことを信頼感するようになりますが、この親子間の信頼感が、将来、周囲の人との信頼感を築く上での大切な基礎になります。

サイレントベビーの場合、こうしたコミュニケーション能力や基本的な信頼感を親子間で十分獲得できず、良好な親子関係を築くこともできません。

そのため、通常の赤ちゃんと比べると、コミュニケーション能力の伸びが鈍く、言語面や情緒面の発達が遅れがちな傾向があります。

その結果、成長して保育園、幼稚園、学校に入ったときに周囲と上手く馴染めず、孤立しがちになります。

サイレントベビーになる原因

 サイレントベビーを生み出す一番の原因は、親子間のコミュニケーション不足です。

具体的には、赤ちゃんが泣いても放置する、赤ちゃんを抱っこしない、赤ちゃんの言動に反応しない、赤ちゃんへの話しかけが少ないなどです。

赤ちゃんは、お父さんお母さんから思うような関わりが得られないと、「自分は興味関心を持ってもらえる人間じゃないんだ」「お父さんお母さんは僕(私)のことが嫌いなんだ」という気持ちを抱くようになります。

そして、「どうせ僕(私)なんか」「泣いても(笑っても)関心を持ってもらえないんだ」という諦めの気持ちを抱いて反応が薄くなっていき、サイレントベビーになってしまいます。

また、赤ちゃんへの関わり方が不適切な場合も、サイレントベビーを生み出すことがあります。

赤ちゃんが泣くと怒鳴ったり叩いたりする、赤ちゃんを抱っこして振り回す、強く抱きしめる、湯船に赤ちゃんの顔をつけるなど、悪意の有無にかかわらず、赤ちゃんが不安や恐怖を感じることを繰り返すと、赤ちゃんの反応は徐々に減っていく傾向があります。

不適切な関わりを続けると、赤ちゃんが不適切な対応を学習してしまい、将来、暴力的になったり、都合の悪いことは嘘をついて誤魔化したりする傾向があるという指摘もあります。

次回はスマホとサイレントベビーとしますーー橋

Recent Posts
Archive
bottom of page