「共謀罪」断固反対ーー治安維持法と同類
とんでもなく恐ろしい法律が制定されようとしています。
「共謀罪」というものです
「日弁連」の反対パンフがわかりやすかったので以下転載します。
共謀罪とは、具体的な犯罪について、2人以上の者 が話し合って合意することだけで処罰することができ る犯罪のことです。
政府がこれまで提案していた共謀罪法案は、 長期4年以上の懲役・禁固等を定める600を 超える罪を対象とする広範なものです。 法案は条約締結に 必要な範囲を越えています。
日本政府は、すでに締結した国際的な組織犯罪の防止に 関する国際連合条約1が「重大な犯罪」について共謀罪を設 けることなどを求めていることから、この条約を批准する ために必要だとして、共謀罪法案を国会に提出しようとし ていると報道されています。
この条約は、もともとマフィアなど経済的利益を目的と する組織犯罪を対象にしていましたが、2001年の9・11 のテロ事件を契機に、テロ対策のために利用しようという 動きが出てきました。 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向 けて、政府は、テロ対策として共謀罪制定が必要であると 説明することが予想されます。しかし、この条約の本来の 目的は、国際的な組織犯罪の防止ですから、テロ対策とは 直接関係ありません。 しかも、政府がこれまで提案してきた共謀罪の規定は、 国際的な組織犯罪やテロ行為の共謀だけを対象とするので はなく、600を超える重大とはいえないものを含む犯罪を 合意の段階で処罰しようとするものであり、市民の自由な 生活を大きく脅かすおそれがあります。
既遂行為を処罰するのが 日本国内の基本原則であり、 それ以前の行為を処罰するのは例外。
犯罪は、人の内心で生まれ、共犯の場合は共犯者との合 意を経て、準備され(「予備」段階)、実行に着手され(「未遂」 段階)、そして、実行されて結果が生じます(「既遂」段階)。
我が国の刑法は、「既遂」処罰を原則としています。法律 で保護された利益(法益)を現実に侵害して、結果が発生し た場合に処罰することとしているわけです。
「未遂」は、特に法律で定められた場合に処罰されるので あり、例外的なものといえます。このように未遂を例外扱 いし、刑罰の減軽を認めていることから、「罪を犯そうとす る危険な意思」を処罰するのではなく、「法益侵害の危険性 を発生させたこと」を処罰すると考えられています。 「予備」の処罰は、未遂よりも更に例外的で、殺人・強盗・ 放火などの重大な犯罪に限って規定されています。現在、「予 備」の一種である「共謀」の処罰は、いわば「危険な意思」の 処罰といえますが、このような処罰の対象となっているの は、内乱の陰謀罪・私戦陰謀罪など極めて特別な場合に限 られています。
一挙に600を超える共謀罪を 新設するのは我が国の刑法の 基本原則を否定 このように我が国の国内法の基本原則は、「既遂」の処罰 を原則とし、「未遂」は例外的、「予備」は更に例外的、「共謀」 に至っては極めて特別な重大な法益侵害に関するものに限 って処罰するというものです。 しかし、共謀罪法案で一挙に新設して処罰しようとして いる犯罪の数は600を超えています。
この中には、窃盗罪 の中の万引きや詐欺罪の中の釣り銭詐欺やキセル乗車など のように犯罪の態様としては決して重大とは言えないよう な犯罪も含まれます。
建造物損壊罪のように、未遂も予 備も処罰されていないのに、共謀罪だけが新設される犯罪 もあるのです。 これは、「未遂」「予備」「共謀」を例外とする我が国の刑法 の原則に合致しません。国際的な組織犯罪の防止のために 「重大な犯罪」について共謀罪を設けるという条約締結の目 的からみても広すぎるでしょう。
また、共謀罪の規定には別の弊害もあります。そもそも、 人と人とが犯罪を遂行する合意をしたかどうか、合意の内 容が犯罪にあたるかどうかの判断はたいへん難しいといえ ます。人と人との合意の有無は、その場にいない第三者か ら見て、すぐに分かるものではないからです。 このように第三者から見て分かりにくい段階から処罰する ことにすると、捜査機関の判断によって恣意的な検挙が行わ れたり、日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視する ような捜査がなされるようになるかもしれません。
これでは 市民の人権に及ぼす弊害が余りにも大きいと考えられます。
合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します
【共謀罪の骨子】
① 長期4年以上の刑を定める犯罪について(合計で600以上)
② 団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行 われるものの(組織犯罪集団の関与までは求められていない)
③ 遂行を共謀(合意)した者は
④ 原則として懲役2年以下の刑に処される。
⑤ 死刑、無期、長期10年以上の処罰が科せられた犯罪の共謀 については懲役5年以下の刑に処される。
⑥ 犯罪の実行の着手より前に自首したときは、刑を減免される。
市民運動団体や労働組合、 会社などの団体の活動も 処罰が可能に
過去に国会に提出され、3度廃案となった政府の共謀罪法 案では、「団体の活動」の共謀の処罰が可能でした。 団体には、市民運動団体や労働組合、会社組織なども含 まれます。
例えば、労働団体が、ストライキをして、その 際に工場のロックアウトを計画したりすれば、逮捕監禁罪 の共謀罪が成立し得ることになります。 そうすると、捜査機関が、市民運 動団体や労働組合などについて、共 謀罪の容疑があるとしてその構成員 を検挙するなど、恣意的に運用され る事態も予想されます。
共謀罪のために室内盗聴、 潜入捜査等の新たな捜査手法が 導入される可能性も
共謀罪は、人と人とのコミュニケーションそのものが犯 罪行為となるので、共謀罪を検挙し、立証するためには、 通信傍受(盗聴)が有効と考えられることも予想されます。 また、通信傍受に限らず、共謀罪を検挙・立証するために、 会話傍受(室内盗聴)が導入されたり、警察官が組織の中に 入って情報収集する潜入捜査などが導入されるおそれもあ ります。 さらに、政府がこれまで提出していた共謀罪法案には、自 首すれば自首した者の刑を減軽または免除する規定があり、 警察の捜査の在り方が根本から変わる可能性もあります。
共謀罪法案がなくても 条約は批准できます
国境を越えた組織犯罪への対応は必要であり、本条約は 早期に批准されるべきでしょう。先進国では、日本と大韓 民国だけが批准していないのも事実です。 この点、政府は、共謀罪法案を成立させなければ本条約 を批准できないと説明してきましたが、そのようなことは ありません。
日弁連が調査した限りでは、この条約を批准した各国と も、その国の法制度で既に条約を満たしているとするか、 多少の法整備をするなどして批准している国がほとんどで す。つまり、各国の国内法の原則に合わせた立法がなされ ればよく、それは日本でも同じです。 さらに、この条約については、共謀罪を制定することなく、 条約の一部について留保をしたり、解釈宣言(自国による条 約の解釈を示す一方的な宣言)をするなどの柔軟な対応に よって、批准が可能であると考えられ、現にそのようにし ている国もあります。
日本には、すでに、重大な法益を侵害する犯罪などに、 例外的に、陰謀罪が8、共謀罪が15、予備罪が40、準備罪 が9存在しており、判例上も一定の要件を満たした場合に 共謀共同正犯として犯罪に共謀した者を処罰することも認 められています。
それだけでなく、我が国においては、テ ロ関連条約のうち 「核によるテロリズムの行為の防止に関 する国際条約」を除く全てを批准しており、条約上の行為を 国内法で犯罪と規定しており、そこでも未遂以前の段階か ら処罰できる体制が整っています。
例えば、アメリカ合衆 国では適法に銃を所持することが可能ですが、我が国では、 銃砲刀剣類所持等取締法により、銃砲や刀剣の所持自体が 厳しく規制されています。これらにより、実質的には、組 織犯罪集団による重大な犯罪については、未遂以前に処罰 することができ、条約の批准は十分に可能となっています。 さらに600を超える共謀罪を新設する必要はないのです。
(てつと評ーー日弁連見解に全く賛同。共謀罪は必要ないどころか、「治安維持法」とおなじである。先ほど、大分県において社民党選対が警察機構によって盗撮監視される事件が発覚したが、同様のことが合法的に日常的に行われる監視社会となった先にまっているのは、「戦争準備ファシズム国家」である)