イグノーベル賞⑤ーーホントの最終回
- 雄幸 土橋
- 2016年10月18日
- 読了時間: 4分

2014
●神経科学賞 Kang Lee(トロント大学)
トーストの焦げ跡にイエス・キリストの顔を見てしまう人々の脳内では何が起こっているか理解しようとしたことに対して。
雲や木目などランダムな視覚的刺激の中に、人間の顔など意味のある像を認識してしまうというパレイドリア(変像)効果についての研究。
●心理学賞 ピーター・K・ジョナサン(Peter K. Jonason,ウエスタンシドニー大学)
習慣的に夜遅くまで起きている人々は、朝早く起きている人々に比べて、平均的にみてより自己賞賛的で、より巧みに他人を操り、よりサイコパシー的傾向があることの証拠を大量に集めたことに対して。夜型人間とダークトライアドとの関連性に関する研究。〈サイコパシーーー精神病質〉
●生物学賞 ヴラスティミル・ハルト(Vlastimil Hart, チェコ生命科学大学) 犬は排便排尿をする際、体を地磁気の南北軸に沿わせるのを好むということを注意深く記録したことに対して
●芸術賞マリーナ・デ・トマソ(Marina de Tomma
手に強力なレーザー光線を照射されると、醜い絵を見ていた人は可愛らしい絵を見ていた人よりも比較的強い痛みを感じたことを計測したことに対して
●医学賞イアン・ハンフリーズ(Ian Humphreys, デトロイト・メディカル・センター)
止まらない鼻血の治療のために、「塩漬け豚肉の一切れを添えた鼻腔タンポンの挿入」という手法を用いたことに対し。
もともとアメリカでは鼻の穴にベーコンを突っ込んで鼻血を止めるという民間療法が存在した
2015
●物理学賞 パトリシア・ヤン(Patricia Yang, アメリカ合衆国、台湾) ほとんどすべての哺乳類が、約21秒(プラスマイナス13秒)以内で膀胱を空っぽにできるという生物学的原理を実験したことに対して 生物は排泄、交流、敵からの防衛のために排尿をするが、生物ごとに異なる排尿のシステムはすべて流体力学の原則に従っているため、哺乳類の排尿にかかる時間はだいたい予測できる。しかも排尿時間は体の大きさには関係しない。
●文学賞マーク・ディンゲマンズ(Mark Dingemanse, オランダ、)
"huh?"(え?)という言葉は人類のほとんどの言語に存在しているらしきこと、その理由がなぜなのかはっきりと確定できないことを発見したことに対して 相手が何といったのか分からない時に発する英語の「huh?」(ハァ?)という言葉は、世界中の多くの言語に、音も機能もほぼ同一のものが存在することが分かった。会話の中で簡潔に質問を発するために、発音しやすい音節の言葉へとどの言語でも収斂進化した可能性を指摘している。
●医学賞 木俣肇(日本))
激しいキス、その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験に対して。木俣肇の研究は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の患者らに恋人らと30分キスをしてもらい、キスの前後でアレルギー反応の強度を検査したところ、キスの後ではアレルギー反応が弱まったことが明らかになった。同じ患者らによる30分の抱擁では効果がなかったものの、セックスではキス同様の効果があった。性的暴行や虐待時には加害男性側がキスを強要することがあるため、被害女性の唾液から検出される加害男性のDNAは法的証拠として役立つことが期待されている。
2016
●医学賞 クリストフ・ヘルムヒェン(Christoph Helmchen)
体の左側がかゆいとき、鏡を見て右側をかくとかゆみが治まることを発見したことに対して
●平和賞 ゴードン・ペニークック(Gordon Pennycook)
『深遠さを装ったデタラメの受容と看破について』(On the Reception and Detection of Pseudo-Profound Bullshit)と題された、学者らしい研究に対して
「ブルシット」(デタラメ)という言葉が正確に200回も使われるこの論文で、研究者は意味深な引用句に見えるが実はまったくナンセンスな短文を自動生成させ、被験者にそれぞれの短文の深遠さを5段階評価させた。さらに現実のデタラメであるニューエイジなどの引用句や、平凡な短文、有名な警句なども比較のために評価させ、最後に自分についてや周りの世界についてどう考えているかの調査もした。
結果、デタラメな短文を高めに評価した人は、思慮深くなく認識力が低く、陰謀論にも親和的という結果が得られた
●知覚賞 東山篤規(日本)足立浩平(日本)ーー二人とも大学教授です、別々の大学
前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、違って見えることを調査したことに対して 上半身を前に折り曲げて股の間から見ると、風景や物の遠近感が消えて実際より小さく見える錯視(股のぞき効果)を実験で証明した。
は―終わりました。いかに「おもしろい」研究がなされていることか。
実は、受賞者は一つの賞に対して多くの研究者がいて受賞しているのですが。全部の名前を羅列すると膨大なので代表のみあげました。
役に立つか立たないかわからないものを真剣に研究する人たちがいるんですね。
こんなことを調べている私は何なのだ?
どういう人たちが、こんな「ヒマ」で「役立たず」?の研究〈本人たちはそう思っていない〉を調べ、まとめて論文かし、狙っているのですよ、イグノーベル賞を〈ジャンジャン〉出た!
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